札幌開催の五輪マラソン 観戦自粛の実効性に疑問「防ぐ手立てない」
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札幌市で8月5〜8日に開かれる東京五輪のマラソン・競歩は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため「沿道観戦自粛」とすることが決まった。ただ、普段から人通りが多い箇所もあり、対策の決定打はない。「見たくなるのは当然」と実効性を疑問視する声もある。

 マラソンと競歩は、札幌中心部の大通公園がスタート・フィニッシュ地点。6日の大会組織委と道、市の3者協議では、大通公園周辺を「立ち入り禁止エリア」、人通りの多い札幌駅前通を「重点対策エリア」とすることを決定。重点対策エリアでは歩く人が立ち止まれないよう、パイロン(円すい形の目印)を置くとした。

 沿道に配置するボランティアは、5月のテスト大会の約700人から3倍近い約2000人に増やす。組織委は「確保のめどはついている」と説明するものの、業者委託も含むことを認めている。総勢約5000人という運営側のワクチン接種も「海外選手に接する人を優先して始めている」とするが、全員の2回接種が間に合うのか、詳しいスケジュールは明かしていない。

 5月のテスト大会も観戦自粛が呼び掛けられたが、実際は市中心部などで観客が集まる場面があった。組織委の森泰夫大会運営局次長は「公道なのでシャットアウトは難しい。テレビで応援していただくよう繰り返しお願いする」と話す。

 観戦自粛について、筑波大の原田隆之教授(臨床心理学)は「五輪マラソンとなれば『見に来るな』という方がおかしい。防ぐ手立てはない」とバッサリ。「自粛要請は、信頼・協力関係があって成り立つ。国民の生命と健康をないがしろにして五輪を開催することを国民は分かっている」と国を批判している。