韓国中部・テジョン(大田)の市庁前の公園など、韓国内の各地に設置されている、やせ細った男性の銅像。
第2次世界大戦中の日本統治下に日本企業で働いた、朝鮮半島出身労働者「韓国人徴用工」を模して作ったとされる像だ。

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この像を制作したのは、慰安婦を象徴する「少女像」を作ったことでも知られる、彫刻家のキム・ウンソン、キム・ソギョン夫妻。

韓国の中央日報などによると、この徴用工像をめぐっては、テジョン市の弁護士で、元市議のキム・ソヨン氏が2019年8月、
「ソウルのヨンサン(龍山)駅やテジョン市庁の前などに設置された、やせ細った徴用労働者のモデルは私たちの先祖(朝鮮半島出身者)ではなく、
北海道の土木工事現場で虐待された日本人であり、これは歴史のわい曲だ」と主張。

これに対し、像を制作したキム夫妻は2019年11月、虚偽の事実を広められ、名誉を棄損されたとしてキム元市議を相手取り提訴していた。

事の発端は同年3月、日韓のメディアが、徴用された朝鮮人労働者として韓国で小学6年生の歴史教科書に掲載されている写真は、実際は日本人労働者ではないかと指摘したこと。
上半身が裸で、あばら骨が突き出てやせ細った複数人の男性を写した写真は、韓国教科書で「強制労働に動員されたわが民族」と説明付きで掲載されていた。

日韓のメディアは、この写真は北海道の旭川新聞が1926年9月に道路建設現場での労働者虐待致死事件を報じた際に掲載したものではないかと指摘して報道した。
旭川新聞の記事に朝鮮人の存在をうかがわせる記述は見られず、44年9月に始まった法的強制力を持つ「徴用」の時期と18年も離れていることから、
この写真は徴用された朝鮮人労働者を写した写真ではないと判断された。

この写真に写った男性のうちの1人が、キム夫妻が制作した銅像に特徴がそっくりだったことから、キム元市議は「徴用労働者像はこの日本人をモデルに作った」と主張した。

これに対し、彫刻家のキム夫妻は「私たちは特定人物をモデルにせずに、私たちが構成したイメージで作った」と反論。元市議を相手取り、6000万ウォン(約592万円)の損害賠償を求めて提訴していた。

韓国の裁判所は5月28日、元夫妻の訴えを「理由がない」として却下した。
「モデルは日本人と信じるほどの理由がある」と結論付けたからだ。

<W解説>韓国「徴用工像」モデルは日本人なのか=韓国裁判所、異例の判決
https://news.yahoo.co.jp/articles/f62b39d5470b36b3a7057848d756c533f9af92b9