【ソウル=桜井紀雄】米ワシントンを訪れている韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は20日(米東部時間)の
ペロシ下院議長らとの会談で、悪化した日韓関係について触れ、「日本は非常に重要な隣人で、韓国政府は、
韓日関係の未来志向的な発展に向けた確固たる意思を持っている」と強調した。韓国大統領府が明らかにした。

 文氏は「韓日間の歴史問題については対話を通じて解決していく」とも説明した。いわゆる徴用工や慰安婦訴訟問題で
日韓関係が行き詰まっている現状を念頭に置いた発言とみられる。

 日米韓3カ国の連携強化を重視するバイデン米政権から日韓関係改善を促されるのを見越し、バイデン大統領との
会談を目前に、韓国側には解決の意思があることを示し、米側の過度な介入を退けようとする意図もうかがえる。

 対立が深まる米中関係をめぐっても、ペロシ氏らに対し、「米中関係の安定的な発展はわれわれにも重要だ」として、
米中関係の安定に助力すると言及した。

 文氏は、米韓同盟について韓国の「外交・安全保障の根幹」と強調しながら、中国についても韓国の「最大の交易国」で、
北朝鮮問題解決のための「重要な協力対象だ」とも説明した。米国か中国かの“踏み絵”を踏まされる事態を避けようとの
思惑もにじむ。米中両にらみ外交を続ける立場も暗に宣言した形だ。
https://www.sankei.com/world/news/210521/wor2105210007-n1.html