平安時代の武将、源頼光のものとされる日本刀「鬼切丸おにきりまる」が1日から、清和源氏にゆかりのある兵庫県川西市の多田神社で一般公開される。

鬼の首領「酒呑童子しゅてんどうじ」退治で活躍した伝説の残る源家の宝刀。
アニメ「鬼滅の刃」の大ヒットなどで刀や鬼が注目される中、鍛えられた鉄の輝きが歴史ファンを魅了する。

鬼切丸は刃長78センチ。
清和源氏を発展させた頼光が、大江山(京都府福知山市)で暴れる酒呑童子を討った際に使ったとされる一振りで、神社で保管されてきた。
国宝「童子切どうじぎり」(東京国立博物館蔵)を制作した刀匠、安綱やすつなの銘が根元部分に刻まれている。

公開を前に、刀工の明珍宗裕さん(46)(姫路市)が神社から手入れの依頼を受け、
「鍛錬と研磨など、当時の素晴らしい技術が力強さと美しさを生み出し、すごみを感じる」とうなりつつ、刀身を入念にチェックしていた。

公開は頼光没後1000年を記念した企画で、鬼切丸に加え、鬼退治の様子を描いた絵巻や徳川4代将軍家綱の甲冑かっちゅうなど神社に伝わる約50点を展示する。
福本賀範宮司は「節目の年に、白鞘さやから抜いた刀身をじっくりと見て、歴史を感じてほしい」と願っている。

6月27日までの土日祝日に、国登録有形文化財の宝物殿で午前10時〜午後3時に公開する。無料。
新型コロナウイルス感染の状況によっては入場制限や中止の可能性もあり、神社は公式ホームページでの確認を呼びかけている。


◆多田神社 清和天皇のひ孫にあたり、武士団を結成した源満仲によって970年に創建された。当初は仏教の多田院で、明治時代の神仏分離令で神社となった。
頼光は満仲の長男。武勇に優れ、酒呑童子討伐のほか、土蜘蛛(つちぐも)退治の伝説でも知られる。
頼光が従えた四天王のうち、坂田金時は昔話に登場する金太郎のモデルとされる。源頼朝や義経は満仲の子孫にあたる。

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