6週間も休みなしで夜勤…ベトナム人「偽装留学生」という単純労働者
3/13(土) 16:01
配信
現代ビジネス

いまや中国人より多いベトナム人の技能実習生の中には、低賃金でこき使われる受け入れ先企業から逃げ出し、組織的な犯罪に手を染める者もいる。一方、留学生としてベトナムから来日しながら、信じられないほど過酷な待遇での労働に従事する人もいる。日本で暮らす外国人労働者に迫ったルポ『「低度」外国人材』から、ベトナム人の「偽装留学生」について紹介する。

仕事がメインで、学業はオマケ

 偽装留学生についても、ある程度は説明が必要だろう。学習よりも就労を主たる目的としている外国人留学生を「偽装留学生」であると定義するなら、広島のジエムの言葉を借りれば「国費留学などの連中を除けば、ベトナム人留学生の8〜9割は偽装」である。

 とはいえ、アルバイトをやりすぎて単位を落とす一昔前の日本の大学生のような、自堕落なイメージで彼らを見てはいけない。ベトナム人の多くは最初から学業よりも就労を希望しているのだが、日本の従来の制度(2019年4月の特定技能ビザ導入以前)のもとではそれが難しいため、やむを得ず留学生の身分を得ることで合法的な滞在資格を得ている。つまり彼らは就業が本業で、学業のほうが付帯的なのだ。

 また、就労目的の外国人の日本滞在はタテマエとしては禁じられているものの、日本の非熟練労働現場は外国人労働力に大きく依存している。ゆえに外国人の就労は、さまざまな抜け穴的な手段が用いられ、日本国家もそれを事実上は黙認してきた。

 すなわち、職業技能の「実習」を名目として実質的には5年間の単純労働に従事する外国人技能実習生が代表的だが、ほかに留学生のアルバイトという形を取っての就労もこれに含まれる。

 2019年5月現在の日本の外国人留学生数は、20年前の約6倍の31万2214人に達した。急増の背景にあったのは、2008年に打ち出された留学生30万人計画にもとづく政府の旗振りだが、お役所的な数値目標の達成のために受け入れ人数だけを水増しした留学生の多くは、実質的には外国人労働者だった。

 「偽装留学生」と呼ぶとイメージが悪いものの、彼らは就労のためにそうした方法を取らざるを得ないのであり、また行政側も実質的にそれを誘導してきた。

 「日本には働きに来た。もしも単純労働者(非熟練労働者)を受け入れる就労ビザがあったなら、留学じゃなくてそちらを選んでいる。留学は学費負担が重いし、一応は就業時間制限もある。不便だ」

 たとえば、私が2018年1月に広島市内で取材した27歳のベトナム人の夫婦はそう公言している(注. 現在は取材当時と異なり「特定技能」という事実上の就労ビザが存在する)。彼らはなんと「あなたはいま、いくつですか?」という、ごく簡単な日本語の質問さえも聞き取れない「留学生」だった。

 彼らが通っている日本語学校は学生の管理がいい加減で、同級生のベトナム人のなかには食品工場で休日なしに6週間連続で夜勤をおこなう人もいたという。午前3時ごろまで働き、学校の授業はもっぱら眠る時間だ。

以下ソース
https://news.yahoo.co.jp/articles/d67a53069361782e2eb26d90c6da9e9943166462