任天堂・古川社長が語る危機感 「敵は『飽き』、毎年正念場」
3/4(木) 18:00
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古川俊太郎ふるかわ・しゅんたろう 1972年生まれ。東京都出身。94年に早稲田大学政治経済学部を卒業し、任天堂に入社。経理畑を歩み、ドイツにある欧州統括会社に約10年間駐在。帰国後、ポケモンの社外取締役などを経験し、2015年に任天堂の経営企画室長に就任。ゲーム機やソフトの販売計画作りにも携わった。16年に取締役常務執行役員に就任し、18年から現職。休日にはゲームを楽しむ。(写真=山本 尚侍)

●キャラクター活用、注意深く

―好業績の中、任天堂にはどんなチャレンジが必要だとお考えですか。

 我々の中核ビジネスがハード・ソフト一体型のゲーム専用機であることは変わりません。ただ、どうしてもハードの世代交代が発生して、ビジネスの波が大きくなってしまう。

 ビジネスを持続的に活性化する仕掛けが必要だと考えて取り組んでいるのが、ゲーム機以外の場所で我々のキャラクターを露出させることです。「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(大阪市)の新エリア「スーパー・ニンテンドー・ワールド」がオープンしますし、「スーパーマリオブラザーズ」のアニメーション映画も22年公開予定で制作中です。生活空間に近い場で任天堂のキャラクターに親しみを持ってもらい、最終的にゲーム自体に興味を持ってもらうのが狙いです。

―単純にキャラクターの露出を増やせばいいのでしょうか。

 我々が大切にしなければいけないのは、それぞれのキャラクターの由来がゲームにあることです。お客様が長い時間をかけて遊び、愛着が湧いて好きになったキャラクターなんです。ゲームの世界観や思い出などを崩さないような展開にしなければなりません。ブランド価値を毀損しないように、注意深く進めています。

 短期的に売り上げを増やそうと思えば、ほかの活用の仕方もあるでしょう。でも、長期的に任天堂が愛されるブランドであり続けるためにどうすればいいか。それは社内でもよく議論していますし、私自身もしっかり考えて判断するように自戒しています。30年以上にわたって築いてきた任天堂というブランドが、簡単におかしなことになるリスクがありますから。

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