世界最大の自動車市場である中国では近年、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)といった新エネルギー車(NEV)の普及が急ピッチで進んでいる。
たたき台の段階ながら、2035年までに新車販売の半分をNEVにするといった目標を打ち出しており、その勢いは増すばかりだ。
タクシーやバスといった公共車両でも中国の各都市が競ってEV化を進めている。
なかでも広東省深セン市はタクシーもバスも100%EV。深センは中国きっての「EV化の優等生」といえる。

◇公共車両で100%EVを達成した深セン市

 深センでは既に2017年末時点で市内の路線バス約1万6000台の100%EV化を達成している。
翌18年末には市内のタクシーのうち約2万1500台をEVとし、ほぼ100%のEV化を達した。

 中国政府は19年12月にエコカー普及戦略を発表し、35年に「公共分野の車を全面的に電動化する」と明記した。

 バスやタクシーなどが対象に含まれており、中国の各都市は目下、目標を達成すべく公共車両の電動化率をアップしようと奮闘中だ。
上海市では22年までにバスやタクシーなどの新規車両を全てEVにするとしている。

 そんな他都市を尻目に早々とEV化を達成した深センでは、既に次なる取り組みが始まっている。

◇自動運転のEVバスも試験を開始

 昨年10月には同市北東部の坪山区の一部区間で、「熊猫公交(パンダバス)」と名付けられた自動運転の実証実験を行うEVバスの運行が始まった。
パンダバスは人工知能(AI)を搭載しており、一定の条件下で完全に自動化する自動運転技術「レベル4」を使って12キロメートルの区間を45分かけて走る。全行程が自動運転だ。

 車体には高性能精密センサーが搭載されており、路面状況、周辺の車両、歩行者、動物などを識別できる。

「ITの都」と称される深センでは、タクシーやバスといった分野でも、全国に先駆けて先端技術の導入が進んでいるのだ。

◇領収書の電子発行も開始

 このほかにも、19年3月には市内のタクシーや地下鉄で全国初となる「発票」(領収書に相当)の電子発行を始めた。

 この電子領収書はブロックチェーン(分散型台帳技術)を活用しており、スマートフォンのアプリを使って簡単に発行でき、ペーパレス化を推し進めた。

◇路線バスでは5Gサービスも開始

 中国では19年11月に第5世代(5G)移動通信システムの通信サービスが本格的に開始されたが、
それに先立つ同年8月、深センでは全国に先駆けて一部の路線バスで5Gサービスへの対応を始めている。

 深センはEV化の優等生に加え、IT化の優等生でもあるのだ。

◇深センの人口は東京と同じ1300万人

 深センの人口は19年末時点で1343万8800人。東京都とほぼ同規模の大都市だ。
1日当たりの公共交通機関の利用者は延べ1105万人に達し、このうち路線バスは325万人、タクシーは114万人に上る。

 EVバスやEVタクシーはこうした利用者の足として活躍している。

(以下略、全文はソースにて)
https://news.yahoo.co.jp/articles/99248f662edba28ace59921cc525e68c8fb2adee