新型コロナウイルス感染者の増加が止まらない。

「このままでは、重症者に取り付ける人工呼吸器やエクモ(人工心肺装置)が足りなくなる」と医療現場から悲鳴が上がり始めている。手慣れた人材の不足も目立つ。そうなれば、助かる人も助けられなくなるだろう。もしくは、生還の見込みがなさそうな人から装置を外して、少しでも見込みのある人に装着しなければならなくなる。


 だが、そうした「命の選別」については、危機が目前に迫っているにもかかわらず、政府や東京都は指針やガイドラインを示していない。病院や医師がなし崩し的に、それぞれの現場で「決断」を迫られる事態になりかねないのだ。

 これでいいのか。

「生還できた人と、できなかった人の差は何なのか。国や都は早急に情報を公開して国民的・都民的な議論を行い、トリアージ(治療優先度の順位付け)のガイドラインをつくるべきだ。命の選別という重責を医療現場だけに押しつけられない」。このところ日々の新規感染者数が100人程度にのぼっている東京都杉並区の田中良区長が1月8日、小池百合子知事に要望書を提出した。

 その真意を田中区長に聞く。
オーバーシュートの段階に入った

つづく