攻めの姿勢を崩さず、あくまで前向き。でも、それは「歌姫・倖田來未」の姿であって、素の彼女はとても繊細…。そんな素顔をインタビューでふと覗かせたのは、「20年間でやめたくなったことはなかったのですか?」との問いに答えているときだった。

「そんなの何回もありますよ。最初は、ヒット曲が出なかったとき。そして大人気のゲーム『ファイナルファンタジーX-2』のテーマ曲(『real Emotion』)を歌うことになったとき。これで売れなかったらやめるって決心して、幸いにもオリコンで3位になった。

 でも、倖田來未としての爪痕は残せなかったから、次は『倖田來未』という名前で、タイアップなしでヒット曲を作りたいと目標を変えて、なんとかそれも達成できた。でも私も、こうやってようしゃべるんでね。誤解を招いたり、間違った言葉の選択をして人を傷つけたことがありました」

 そう話すと言葉に詰まり、涙で声にならなくなった。かつての失言が、脳裏をよぎったのだろう。それでも彼女は、封印していた気持ちを解くかのように続けた。

「曲に言葉を乗せて仕事をしているのに、その言葉で人を傷つけてしまったことを今でも後悔しているし、自分が許せないというか……。あのときも音楽に支えられたし、『自分は音楽がないとダメなんだ』って、すごく思って。

 傷つけた人たちの信頼は、一生取り戻せないかもしれないけど、それでもいつか、『倖田來未って、もしかしたらいいかも』って、一曲でも思ってもらえる曲が作れたらって。そんな思いで、常に曲を作っています。だからこそ20年間、歌わせてもらったことは、感謝でしかないんです」

 そんなふうに弱い自分をさらけ出して話す彼女は、いつもより何百倍もかっこよかった。

長いので一部抜粋
https://news.yahoo.co.jp/articles/7d5a5615aa1d15188a7d772a4da1d6898e289813