重要なのは「あそこは対応しない組織だ」というイメージを醸成することである。アマゾンなんて、
「世界でもっともカスタマーのことを考える会社」なんて謳っていても、どれだけ対応してくれるか? 
IDが乗っ取られて注文していない荷物が毎日届いても何カ月も対応してもらえない、という話も聞く。
いくら問い合わせをしてもなしのつぶて。ツイッターやグーグルにしても、削除要請やら誹謗中傷への対応や
不当な凍結の解除などをまともにしてくれないもの、というイメージがすっかり定着した。それでも便利だから人々は利用し続ける。

その時の諦めの気持ちとしては「外資だからしょうがないよね…」というものがある。どこかで日本企業はキチンと対応してくれる、
という期待があるからこそ日系企業は「お客様のために」と余計な電話対応窓口を作ってしまう。

 客よりも従業員

 私の持論ではあるが、会社で最も大事なものは客よりも従業員だと思う。さすがにBtoBで何十億円もの売り上げがある
法人顧客は別だが、せいぜい数百円〜数千円しか使わないような客、ないしは客でもなんでもない個人を不快にさせることよりも、
一人の従業員がそうした相手の対応のために神経をすり減らし、うつ病になったり退職に至る方がダメージは大きい。
一人の個人客を失うことは「どうでもいい」と割り切り、従業員を守る方が合理的である。
そのために「電話対応やめました」という宣言を各社してはいかがだろうか。
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 いや、完全に電話対応窓口をやめられない場合もあるだろう。それは「健康被害」「不良品対応」
「超優良顧客」の3つになると思うが、最初2つについては、用件を聞いた後に「それは当窓口では対応しかねます」と言うだけで切る。

 だが、これらにしても問い合わせフォームだけでなんとかなる。その専用フォームを作り、
症状や不良状態を具体的に書いてもらう。フルネームと電話番号も書いてもらう。その段階で単なる誹謗中傷や
意味不明のクレームだった場合は無視。「これは本当にマズい…」というものだけに対して電話をするという対応でいいのだ。
「超優良顧客」の場合は、予め登録制度にしておき、ID・パスワードを入力したうえで問い合わせフォームに進めるようにする。

 とにかくこれだけ精神を病む従業員が多いのと、クレーマーがつけあがる社会というものは、
クレーマーであろうとも「お客様」扱いして甘やかしていたことが原因である。「カネを払わないヤツは不要」というスタンスに
企業はもっとなっていいし、客でもなんでもない暇人の相手はしないでいい。社会全体がその雰囲気になれば、
「お前の会社から無視されたことをネットに書くぞ!」と脅されても「どうぞどうぞ」となる。それでいい。
ただのクレーマーは経営上の邪魔な存在なだけだ。