人材派遣大手のパソナグループが、東京にある本社機能の一部を淡路島に移す。
経営企画、総務、財務経理、広報などに従事する約1800人の中から約1200人を、2023年度末までに段階的に移す予定だ。
9月頭にこの計画が発表されると、ネット上には驚きや心配の声があふれた。

 中には「島流しでは?」といったネガティブな意見も目にするが、筆者がパソナの“中の人”にインタビューをして感じた、ポジティブな面にも光を当てたい。
働き方を含め、あらゆる価値観が大きく変化したコロナ禍で、CSR(企業の社会的責任)が求められる大企業のあるべき姿を実践している部分も多々あるのではないか、ということだ。

 パソナグループ副社長執行役員の一人で、本部移転プロジェクト副総本部長を務める渡辺尚氏に、このプロジェクトが目指すところを聞いた。

筆者が気になるのは、異動を迫られる従業員の反応だ。家族の都合などで転勤が難しい人もいるだろう。

渡辺氏は「社員は研修や入社式で淡路島を訪れたことがある。従って、多くの社員が理解を示してくれると思う。
ただ、社員の希望は最大限に尊重する」と話す。パソナグループでは、17年から入社式と新人研修を淡路島で行っている。

 また、本社機能を全て淡路島に移すわけではないので、「期間を決めて東西でローテーションを実施することも可能」という。
今回、異動が予定されているのは、総合職に属する従業員が中心だ。考えてみよう。
全国に拠点を持つ大手上場企業の総合職であれば、このような転勤は珍しいことではない。

経営企画、総務、財務経理、広報といった機能の一部が異動するというが、彼らは社内で“エリート”に属する従業員だ。
そのような能力のある人々だけに、これを機に他社からの引き抜き攻勢があるのでは? と心配になるが、
渡辺氏は「そういうことがないように社員とは十分なコミュニケーションを心掛けたい」という。

「島流し」は誤解? パソナ1200人の淡路島移転、副社長に疑問をぶつけた
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2009/17/news021.html