政府、銀行送金手数料の一斉引き下げ要求へ 「増えるキャッシュレス決済に支障」
6/16(火) 19:3毎日新聞

 政府の未来投資会議(議長・安倍晋三首相)は16日、銀行間の送金手数料が高止まりしてキャッシュレス決済の普及を妨げているとして、銀行業界に引き下げを要求する方針を打ち出した。送金にかかる手数料全般について、定額課金制の導入も検討するよう促す。7月にまとめる政府の成長戦略に盛り込む方針で、利用者が支払う振込手数料にも値下げ圧力が強まりそうだ。

 銀行など金融機関の送金は、ほぼ全てが「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」を経由している。1件の送金にかかる手数料は各行がコストなどを勘案して個別に決めることになっているが、実際には現行システムが稼働した1973年から変わらず、3万円未満の送金は117円、3万円以上は162円と一律に設定されており、引き下げの余地があると指摘されている。

 一方、「ペイペイ」「LINEペイ」などのキャッシュレス決済や送金業者は、銀行を介して全銀システムを使って資金を移動しており、未来投資会議は全銀システムの手数料が「キャッシュレス決済普及の障害になっている」と問題視。システムの運営法人に対し「コストを適切に反映した合理的な水準」まで下げるよう求める方針だ。

 また、キャッシュレス業者は、少額で多数回の取引が特徴のため、1件ごとに手数料が発生すれば負担が重い。このため未来投資会議は、定額料金を支払えば頻度に関係なく利用できる仕組みを含め、料金体系の多様化について検討を要請。キャッシュレス業者のシステム参加を認める基準の策定も促す。

 安倍首相は会議で「新型コロナウイルスの影響で、キャッシュレス決済の利用者が増えている。全銀システムにキャッシュレス業者が直接参加できる道を開きつつ、銀行間の手数料引き下げを図りたい」と述べた。

 全銀システムの運営法人は5月に設置した作業部会で、キャッシュレス業者のシステム接続について議論を進めている。全銀システム関係者は取材に「政府に指摘された以上、ゼロ回答はできない」と話し、手数料引き下げの具体策を詰める考えを示した。【鳴海崇、松本尚也】
https://news.yahoo.co.jp/articles/4847b5d8e2aa3ff47e682701f70ed94ee273068c