果物の苗木などを海外へ無断で持ち出すことを規制する種苗法の改正に対し、農家の負担が増えるおそれがあるとして一部で慎重な審議を求める声が出ていることについて、江藤農林水産大臣は「農家の権利を守る制度で一刻の猶予もない」と述べ、予定どおり今の国会での審議を求める考えを示しました。

農林水産省は、国内で新たに開発された果物や野菜などの種や苗木について、海外流出を防ぐため、種苗法の改正を予定しています。

改正案では、国が登録する品種を農家が自分の畑などで増やす際、開発者の許諾が必要になるため、農家の負担が増えるおそれがあるとして一部の農業関係者から慎重な審議を求める声が出ています。

これについて江藤農林水産大臣は19日の記者会見で、「許諾が必要なのは登録品種のみで、例えばコメの品種の84%、みかんの品種の98%は制限のない一般品種だ。法改正により、農家の負担が増えたり、生産が制限されたりすることは想定されない」と述べました。

そのうえで江藤大臣は「不要不急の法案だという批判もあるが、権利を守る制度は、一刻の猶予もない。海外への流出に歯止めをかけないと、農家の努力や利益は守れないので、国会で審議をしていただきたい」と述べ、予定どおり今の国会での審議を求める考えを示しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200519/k10012436001000.html