米の新型コロナ死者4万人超、経済再開急ぐトランプ氏に州知事が異論
Reuters Staff

[19日 ロイター] - ロイターの集計によると、新型コロナウイルス感染症による米国の死者は19日、4万人を突破し、感染者は74万人を超えた。一部の州で外出制限に抗議するデモが発生する中、感染拡大が深刻な州の知事は、早期の経済活動再開を求めるトランプ大統領を批判し、検査体制の拡充を求めた。

ニューヨーク州では入院患者数が1万6000人と、一時の1万8000人から減少。人工呼吸器を装着した患者も減少した。1日当たりの死者は一時700人を超えていたが、この日は507人に減少した。

同州のクオモ知事は「この傾向を持続できれば、ピークを過ぎたことになる。現時点では、減少に向かっていることがあらゆる兆候からうかがわれる」と述べた。その上で「まだハーフタイムにすぎない」とし、人との接触を避ける対策などを継続するよう求めた。

クオモ知事は、感染した人の数を把握するため、大規模な抗体検査を今後1週間に実施する方針を明らかにした。1日当たり2000人、1週間で1万4000人を検査する。ニューヨーク州の人口は1900万人。

クオモ氏ら複数の州知事は、新規感染者を発見するウイルス検査の拡充のほか、経済再開に向けた計画の一環として免疫の有無を調べる抗体検査の実施を強く要求している。

メリーランド州のホーガン知事(共和党)はCNNのインタビューで、各州には十分な検査キットがあるとするトランプ大統領やペンス副大統領の主張について「完全に誤っている」と述べた。

バージニア州のノーサム知事(民主党)もCNNで、州に十分な検査キットがあるとの見方は「妄想」だと語った。

メリーランド、バージニア両州と首都ワシントンでは、依然として感染者が増加している。また、ニュージャージー州は19日、新規感染者が約3900人と、過去2週間余りで最多になったと報告した。ボストンやシカゴもこのところ感染者や死者が急増しており、感染者の集中する「ホットスポット」になりつつある。

オハイオ、テキサス、フロリダなど一部の州はこれまでに、5月1日かそれ以前をめどに経済活動の一部再開を目指す考えを示している。ミシガン、オハイオ両州の知事は19日、検査で必要な試薬などの入手で連邦政府の支援があれば、検査を2倍か3倍に増やすことが可能だと述べた。

トランプ大統領は16日、米経済の再開に向けた指針の中で各州に対し、3段階の再開プロセスを開始するにあたり、感染者の「減少傾向」が14日間続く状況を目安にすることを提言した。[nL4N2C40XU]

その一方で17日にはツイッターへの投稿で、早期の経済再開を求める市民の抗議デモを鼓舞するかのように、ミシガン、ミネソタ、バージニア各州の民主党知事に対し、州を「解放」するよう要求した。

ワシントン州のインスリー知事は、トランプ大統領のこうした発言について、外出制限に関する州法に違反するよう促しているとして強く批判。「米国大統領が国民に法律違反を促すような事態は、見たことがない」と述べた。

外出制限措置の解除を求めるデモは、テキサス、ウィスコンシン、オハイオ、ミネソタ、バージニア各州でも発生している。
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-idJPKBN2210WI