最前線で治療に当たる医師の願い 「医療が崩壊しないようにみんなで協力してほしい」

(略)

病床や人員の対応、感染防御のための物品など、現実的なことを考えると、本当の専門家で、全体像が見えている人は日本全体の不安な人まで検査しようということは言わないです。わかっている人は言わない。
無症状でも不安のある人、ごく軽い風邪症状の人など、検査を希望する人も多くいることは理解しています。そして、軽症も多いという新型コロナウイルスの特徴から、その中にも陽性者がいる可能性は否定できません。
しかし、安易に検査を拡大していくことで、本当は避けることができる医療崩壊のカウントダウンが始まってしまう、ということも知っておかなければならない。
そういう人たちでベッドが埋まり、防護具が減ると、本当に守らないと救えない人が救えないことが起きてきます。しかもコロナの患者だけでなく、それ以外の患者の命も救えないということが近い将来に起こってきます。

(略)

こうした感染症の流行では、本当に全体が見えていないと語れないんです。外野の人は結構気軽に、「?をすべきだ」と言うことがありますが、全体が見えていないだけだと思います。
僕らはこの病気に限らず結核など隔離する病気をずっと診ていますから、どこをどうすると、どこに負担がかかるかわかる。誰が動いているかもわかる。そういう全体像を知らないから、気軽に「こうすべきだ」と言えるのだと思います。

ーーなるほど。思いつきで対策を打ち出すと、バランスが崩れて現場がめちゃくちゃに混乱することもあり得るのですね。

そうです。細かいところまで視野を行き届かせて、そこがケアされるようでないと、狙いとは違う方に進むことはあります。
「検査を多くしろ。なぜ増やさない」という意見についてもそうです。「流行の全体像を知るため」という一部分だけ見たら、良いことのように見えるかもしれませんが、全体を見るとマイナスが多いから専門家は疑問を投げかけたのです。

ーーそうですね。韓国もイタリアも医療崩壊が進んでしまいました。

あの海外の状況が見えてから、みんなも少し納得するようになりましたね。

(略)

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-imamura