【ベルリン=近藤晶】旧東ドイツの二州で九月一日、州議会選挙が行われる。最新の世論調査によると、国政で
大連立を組む中道右派、キリスト教民主同盟(CDU)と中道左派、社会民主党(SPD)が苦戦。与党への
不満を背景に、反難民・反移民を掲げる排外主義的な右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が大幅に
議席を伸ばす勢いを見せている。

 三十日に発表された公共放送ZDFの世論調査によると、ブランデンブルク州ではSPDの支持率が22%、
AfDが21%と、わずか1ポイント差で第一党の座を激しく争っている。AfDが第一党になれば、全国で初めてとなる。
ザクセン州ではAfDが24・5%と、32%のCDUに次ぐ二位につけている。

 旧東独では一九八九年のベルリンの壁崩壊から十一月に三十年を迎えるが、旧西独との経済格差はいまだに
解消されていない。失業率も旧西独より高く、手厚い保護を受ける難民の方が優先されているといった声もある。
二〇一三年に結党されたAfDは、既存政党への不満の受け皿として浸透。前回一四年の州議会選から支持率を
ほぼ倍増させている。

 ブランデンブルク州でAfDが第一党に躍り出ても、他の主要政党がAfDとの連立には否定的なことから、
州政権を奪取する可能性は低い。ただ、国政への影響は避けられないとみられている。

 党勢の退潮が続くSPDは、五月の欧州議会選で大敗し、連立維持派のナーレス党首が辞任。党内では
連立参加が党の存在感を低下させているとの不満が根強い。十月に党首選が予定されており、州議会選の
結果次第で連立離脱論が強まる可能性がある。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201909/CK2019090102000131.html