宙に浮く「F2」後継機゙…開発経費計上は見送りの公算
2019年06月25日

2030年代に退役を迎える支援戦闘機「F2」の後継機問題に関心が高まっている。
自民党の国防議員連盟は、20年度に開発経費を確保することを求める提言を安倍晋三首相に提出。
ただ、F2後継機に求める性能の詳細や設計方針については、防衛省内でも考えがまとまっておらず、
開発経費計上は20年度では見送られる公算が大きい。独自開発の「F1」が06年に退役してから10年余り。
技能伝承の点から国産戦闘機を求める声は強いものの、実現のハードルは高い。

「将来戦闘機に関し、日本は基礎的な力はすでに有している。ただ、それらを統合しまとめていくことは大きな挑戦」。
岩屋毅防衛相は個別技術で日本企業がそれなりの水準にあることは認めつつ、システムとして
戦闘機にまとめ上げる能力は別問題だと指摘する。

国土が南北に長く、領海面積も広いわが国では、戦闘機には長い航続距離とレーダーの探知能力の高さ、
ステルス性能などが求められる。ステルス性の高い機体開発は三菱重工業をはじめとするグループが
16年に国産ステルス機「X2(通称心神)」の初飛行を完了、防衛装備庁で実証試験に入っている。
エンジンもIHIが推力15トンの「XF9」を開発済みだ。

他方で将来戦闘機の技術革新のスピードは急だ。23日に閉幕した「パリ国際航空ショー(パリエアショー)」で
フランスがドイツ、スペインと3国共同で開発する次世代ステルス機のモックアップ(模型)を初公開した。

同機は編隊レベルで相互にネットワーク化されたコンピューター飛行制御や、無人機の遠隔操縦機能を持つ。
英国が18年開催の「ファンボロー国際航空ショー」で開発構想を示した将来戦闘機「テンペスト」も、
複数無人機を搭載し遠隔操縦するとしたほか、レーザー兵器を搭載する。

F2後継機はこうした海外の実情も考え、20年から30年間、運用できるシステムの
柔軟性を兼ね備えなければならない。こうした設計能力は海外の方が優れているのが実情だ。
(後略)
https://newswitch.jp/p/18169