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30年前に初めてサグラダ・ファミリアを見たときには少なくとも完成まで200年はかかるのではないかと言われていたが、最近ではあと20年で完成すると言われている。

それもそのはずである。この写真は10年ほど前に撮ったものだが、既にガウディが生前完成させた『御生誕の門』の中世の石積みの建設工法ではなく、このように鉄筋コンクリート造になって現在急ピッチに工事は進んでいる。
木製合板の型枠は使わず、型取りしたプレキャストを積み上げ、それをそのまま捨枠として、上から生コンをサザーと流し込むやり方である。
それにしても鉄筋の量には驚かされる。これではコンクリートもうまく回らないのではないかと心配になる。
この鉄筋はシッチェスのクライアントの工場で作られていて、長さが60mもあり世界一であると話していたしていたのを思い出した。
先日ジロナの建築見学会で一緒だったガウディ研究家として知られるタラゴ教授もこの建設方法には否定的である。建設方法にかなり無理があるように思えてならない。

中略

現在、鉄筋コンクリートの方が、効率良く完成は早いので一般的建築工法であるが、鉄筋コンクリートの寿命は長くても100年と言われている。
造った時から既に鉄の劣化は始まっている。中世の石積みのカテドラルは建設に200年かけ、500年以上経った今もヨーロッパの街の中心に聳え立っている。
ガウディが亡くなって80年の歳月が過ぎ、勝手に鉄筋コンクリート造のサグラダ・ファミリアが建設中であるが、本当にガウディの建築として世界文化遺産の価値があるのか疑問になってきた。
ガウディは中世からの石積みによる建築工法で構造を考え、そのフォルムをデザインしていったのであるから、明らかに現在建設中のものは、ガウディの建築物とは異質なものである。
ガウディの基本設計を基にして、近代建築工法の鉄筋コンクリートで造ったものであることを、現在担当している建築スタッフの名前と共に明記したほうが良いと思う。
100年経ってはじめて、今建設しているサクラダ・ファミリアの本当の評価が出てくるはずである。
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