なぜいま韓国へ進出? “売上好調”「アイリスオーヤマ」の戦略を現地取材

日韓関係は悪化の一途…なぜこのタイミング?

韓国・文在寅大統領

総投資額70億円をかけて果敢に韓国に本格進出したアイリスオーヤマだが、
奇しくも現在は日韓関係が“どん底”ともいえる時期だ。なぜこのタイミングだったのだろうか?と疑問に感じる部分もある。

韓国の大手通販サイトで「アイリスオーヤマ」と韓国語で入力すると、ずらっと出てくる家電の数々。
Eコマース(電子商取引)市場が約11兆円を超える韓国で着々と存在感を増す、仙台市の生活用品大手「 アイリスオーヤマ」のオリジナル家電だ。

他の大手家電メーカーの早期退職者を採用して独自の製品開発を進めることで注目を集めており、
これまでに「ハンズフリー型の卓上ドライヤー」や「IH調理器としても使える分離型の炊飯器」などのアイデア家電を生み出してきた。

18年12月期のグループ全体売上高は家電販売の好調などを背景に4750億円(前年比13%増)と過去最高を記録した。

そのアイリスオーヤマが19年3月に完成させたのが韓国初の生産拠点「仁川(インチョン)工場」だ。

米中貿易戦争に伴うリスク分散…さらに韓国市場にチャンスも

アイリスオーヤマは仁川工場設置の理由の1つに「リスク分散」をあげる。
激しさを増すアメリカと中国の“貿易戦争”の先行きは不透明だ。アイリスオーヤマでは中国工場で生産された製品の一部をアメリカに輸出していたが、
対米輸出品の追加関税を考慮し生産の一部を中国から仁川工場に移管。仁川工場からもアメリカに輸出する計画だ。

韓国からアメリカへの輸出は米韓自由貿易協定(FTA)によって関税がかからないためだ。

さらに22年にはグループ全体で現在の2倍にあたる「売上高1兆円」という目標を掲げているアイリスオーヤマにとって、
海外の売上比率を上げることは欠かせない。
韓国ではPM2.5による大気汚染が深刻な問題になっているため、仁川工場で生産される空気清浄器は家庭やオフィスに必須ともいえる家電で、かなりの需要が見込めるだろう。

悪化する日韓関係…政治と経済は「別」

その上で日韓関係の悪化については、あくまでも政治と経済は「別」と強調する。

ソン社長は「(訪日韓国人は)年間700万人いて韓国国民でもアイリスオーヤマのことを知っている人はたくさんいる。
私たちの商品の優れた機能を知ればもっと多くの人が購入してくれると思う」と期待感を寄せる。
消費者のニーズに合った優れた商品を生産すれば日韓関係の悪化が及ぼす影響は小さいとの認識だ。

確かに韓国メディアもアイリスオーヤマの韓国進出に対して
「IT分野、ビジネス貿易、マーケティング分野の人材採用増加が期待される」(日刊京畿)と歓迎ムードだ。
韓国に進出した日本企業は売り上げや利益を伸ばし、韓国人は新たな雇用を得るという、双方にとってウィンウィンの関係が出来るのならば理想的だ。

(一部略)
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