■なぜ「君主制の廃止」という課題を削除したか

日本国憲法の天皇条項をより分析的に吟味した結果

 小木曽 それではまず一番の基本のところからお聞きしますが、日本共産党が04年の綱領改定で、それ以前の綱領にあった「君主制の廃止」という課題を削除した理由はどこにあったのかから、お話しください。

 志位 それは何よりも、日本国憲法の天皇条項をより分析的に吟味した結果です。以前の綱領では、戦後の天皇の制度について、「ブルジョア君主制の一種」という規定づけを行い、民主主義革命が実行すべき課題として「君主制の廃止」を掲げていました。

 しかし、「ブルジョア君主制の一種」という規定は、戦前の天皇絶対の専制政治(絶対主義的天皇制)が、戦後、違う性格のものに変わったという事実の指摘としては一定の意味をもったのですが、「君主制」と規定することは誤解を残すものとなりました。

 国家制度の性格をつかむ場合に何よりも大切になるのは、主権がどこにあるかということです。主権という点では、日本国憲法に明記されている通り、日本という国は、国民主権の国であって、君主制の国とはいえないことは明らかです。

 さらに、天皇の制度は、ヨーロッパなどでの立憲君主制――形のうえでは国王が統治権を多かれ少なかれもっていて、それを憲法や法律(慣習法)などで制限し、事実上国民主権の枠の中にはめ込んでいる国家制度――とも決定的な違いがあります。

それは、日本国憲法第4条が、天皇の権能について、「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」と明記していることです。世界に、「国政に関する権能を有しない」
――統治権にかかわる権限を一切もたない君主というものは、存在しません。天皇を、いかなる意味においても君主と呼ぶことはできないのです。

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-06-04/2019060401_01_0.html


↑全文。かなり考えられていることがわかる