実は40代も立派な“ゆとり世代”?


「多くの人は、ゆとり教育は平成のトピックだととらえていると思います。しかし、実際には1977年版の学習指導要領に『ゆとり』というキーワードが初めて登場し、
80年以降の小学校ではゆとり教育が実施されていたんです」

 そう話すのは、育児・教育ジャーナリストの
おおたとしまさ氏だ。「これだからゆとり世代は……」とこぼす40代のビジネスパーソンも、
実際はゆとり教育を受けていた可能性が高いのだという。「まず、“ゆとり世代”という言葉はとても曖昧なものだと認識しておいたほうがいい」とおおた氏は指摘する。

 意外と歴史が長い
ゆとり教育だが、学校教育に「ゆとり」を取り入れることになった理由は70年代の
社会問題にあるという。

「70年代末から80年にかけて、『校内暴力』や『非行少年』が社会問題化しました。学校荒廃の原因として、通説になっているのは68年に告知された学習指導要領。
その内容は“新幹線授業”と呼ばれるほど過密なもので、いわゆる『詰め込み教育』によって
窒息しそうになった子どもたちの叫びが校内暴力や非行というかたちで表れたといわれています」(おおた氏)

 つまり、ゆとり教育は詰め込み教育の反省から生まれたのだ


「多くの人が『ゆとり=平成の教育』というイメージを抱くきっかけとなったのは、98年に告示され、
2002年から実施された学習指導要領の改訂があまりにも衝撃的だったからでしょう。その内容は『円周率を3とする』『完全週5日制』など、どれもインパクトが強いものだったのは確かです」(同)

 
同時に学習内容や授業時間も削減、思考力を育てる目的で「総合的な学習の時間」が
導入され、話題を集めた。しかし、この大変革は世間から激しいバッシングを受けることになる。

「大きなきっかけは、国際的な学力調査『PISA』の結果で日本の子どもたちの
学力低下が指摘されたことです。その後、行政は08年に『脱ゆとり路線』への変更を余儀なくされました。
中学校主要5教科の総授業時間数は1980年代頃と同程度にまで戻されています。しかし、完全週5日制は据え置きなので、現代の中学生の平日はとても過密なものになっていると考えられます」(同)

https://biz-journal.jp/2019/04/post_27491.html