関西空港「海底トンネル構想」推進へ 

 関西国際空港と対岸を海底トンネルで結ぶ「第2のルート」整備計画が日の目を見るかもしれない。9月の台風の影響で連絡橋が破損し、利用客らが一時孤立。
周辺自治体はこの事態を懸念し、30年以上前から整備を求めてきた。巨額の資金がネックで計画は動かなかったが、懸念が現実になり、
リスク管理や関西経済への側面からも首長らは来月、国土交通省や総務省に構想推進を直談判する。

海上に人工島を造成し1994年に開港した関空。計画段階では、対岸の大阪府泉佐野市、泉南市、田尻町が連絡橋の候補地だった。大阪府は「複数ルートの整備が必要」
としつつも、大阪市中心部により近い泉佐野市と関空島北部をつなぐ「北ルート」が選ばれ、自動車と鉄道用の連絡橋が建設された。

 一方、候補地から外れた泉南市は、災害やテロ行為でアクセスが絶たれるリスクを回避すべきだとして、島南部と市を結ぶ「南ルート」整備を主張。
86年から国や府などへの要望活動を始めた。

 2000年には府南部や和歌山県の市町とともに「関西国際空港連絡南ルート等早期実現期成会」を設立。現在は8市2町が参加、毎年関係省庁や国会議員に陳情しているが
具体的な協議に入ったことはないという。

 南ルートが「検討課題」として宙に浮く中、先月4日の台風21号では連絡橋にタンカーが衝突し、道路と鉄道が通行止めとなった。利用客や職員ら約8000人が
一時空港島内に閉じ込められ、自動車道の全面再開は、来年春の見通しだ。

 関空は07年に2本目のB滑走路が供用されて以降、格安航空会社(LCC)の需要が高まり、昨年度は過去最多となる約2880万人の旅客が利用した。
期成会の事務局を務める泉南市の竹中勇人市長は「関空はインバウンド(訪日外国人)が増え続け、昔とは状況が異なる。世界的に注目される空港となった以上、
今回のような事態は二度とあってはならない。南ルートの検討を直ちに始めるべきだ」と主張する。

 期成会は、強風の影響を受けないトンネルでの整備を念頭に置くが、少なくとも1000億円以上はかかるとみられ、実現へのハードルは極めて高い。

https://mainichi.jp/articles/20181014/k00/00m/020/016000c