障害者枠を身体に偏重 精神、知的は困難と敬遠 九州の7県3政令市で9県市、採用対象限る

九州の7県と3政令市の正規職員採用試験について、「障害者枠」が設けられているにもかかわらず、福岡県を除く9県市が対象者を身体障害者に限定していることが分かった。
身障者に比べ、精神や知的障害者は就労環境を整えるのが難しいと考える自治体が二の足を踏んでいるとみられ、障害の種類によって雇用機会に格差が生まれている現状が浮き彫りになった。

 障害者雇用は、身体障害者雇用促進法に基づき1976年に義務化された。当初は身体障害が対象だったが、その後、知的障害にも拡大。
今年4月から精神障害(発達障害や高次脳機能障害を含む)も対象に加わった。

 九州の自治体では、福岡県が82年に障害者枠を導入したのを皮切りに拡大。
現在は7県3政令市すべてで導入されており、主に教養や作文の筆記試験と面接による選考が行われている。
福岡県は制度改正に伴い、今年4月の採用から精神障害も対象に加えたが、同県以外は現在も対象を身体障害に限定。知的、精神障害者は、障害のない人と一律に受験することになっている。

 精神、知的障害者を枠外にしている自治体が理由として挙げるのは障害の特性。「身体」は職場のバリアフリー化などハード面の環境整備で受け入れの見通しが立つと考える自治体が多いのに対し、
「精神」は働く能力があっても長時間の勤務が困難などの点から「仕事を用意したいが何を任せられるのか見定められない」(大分県)との声が多い。
仕事内容や勤務時間の個別調整の可否がネックとなっている。「知的」についても「単純作業が想定されるが行財政改革で多くを外部委託しており、仕事がない」(熊本市)。
福岡市などは1年契約の嘱託員として採用しているが、正規採用への道は開いていない。

 一方、福岡県は「重いストレスをかけないなど適切な配慮をすれば、通院しながらでも仕事の成果は出してもらえる」と判断し、今春から精神障害者1人を採用。
外部との接触が少なく比較的自分のペースで進められる内部管理業務などを任せる予定だ。佐賀県は法定雇用率を下回っていることもあり、来年度実施の採用試験から精神障害者も対象に含める検討をしている。

 精神障害がある北九州市の男性(38)は同市での就労を希望しているが、求人枠がないことが機会の不平等を生んでいると指摘。「私たちは差別されていると思う。行政は民間の手本になれていない」と話している。

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