「身体に悪い」と思いながらも、カリカリでジューシーなベーコンの美味しさを断ち切るのは難しい、という人は多いだろう。加工肉を
食べ続けることは、本当に「命の危険」に関わるのか? 英紙記者による長編ルポを前後編でお届けする。

ある小さなカフェの常連だった時期がある。その店のベーコンサンドイッチが、よそとは一線を画す絶妙な美味しさだったのだ。
パンとベーコンとソースだけの無駄のない一品を頬張るのは、面倒なことを一切合切忘れて、快楽に浸れる瞬間だった。

ところがある日、突然、このベーコンサンドを食べることが、さほど楽しいものでなくなってしまった。というのも2015年10月、
「ベーコンはがんの原因になることが実証された」という報道が駆け巡ったのだ。

米誌「ワイアード」の記者は「インターネットを何よりも炎上させるのは『ベーコン』と『がん』という2単語の組み合わせなのかも
しれない」と書いた。BBCはウェブサイトで「加工肉には発がん性がある」と冷静を装いながら報じたが、タブロイド紙「サン」には
「ソーセージはダメったらダメ!」「キッチンに潜んでいた殺人鬼!」などの見出しが躍った。
https://courrier.jp/news/archives/124171/