飲酒ひき逃げ、同乗者3人も提訴 神戸の遺族

ひき逃げ事件で亡くなった神戸市出身の浜口望さん=当時(23)=は女子美術大学2年生で、創作活動に打ち込んでいた。
同市中央区の父栄俊(えいとし)さん(54)と母雅子さん(56)は今春、望さんが残した絵画作品を使って「飲酒運転撲滅」を
訴えるポスターを作成、各地で掲示の動きが広がる。事件から19日で千日となったのに合わせ、印刷などの普及費用を
インターネットで募るクラウドファンディングも始めた。「飲酒運転をこの世からなくしたい」との思いを込めて。

 事件直前の2015年夏、望さんは生き生きとしていた。東京・青山であったお笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣(あきひろ)さんの
個展で、美術制作チームのリーダーを務めていた。「格好いいのができたよ」。雅子さんは、弾んだ電話の声が忘れられない。

 望さんは、六甲アイランド高校(同市東灘区)時代から絵画が国際美術展で入賞するなど才能を発揮。両親は
「『生きている今が楽しくて仕方がない』といった様子で、周りを明るくしてくれた」と振り返る。

 事件後の15年秋、神戸・元町に、望さんの絵や造形作品など100点以上を飾るギャラリーを設けた。友人や知人らに公開し、
これまでに700人以上が訪問。生前の人柄と作品が今も多くの人を引きつける。

 しかし、愛娘を失った悲しみが癒えることはない。16年夏にはネット上で、事件を起こした車の同乗者らが海辺でふざける
動画を見つけてしまった。「私たちが声を上げないと。のん(望さん)はもう何も言えないんだから」。両親は提訴を決意した。
事件さえなければ、望さんは27日で26歳。25日には神戸地裁で尋問があり、同乗者に質問して向き合う予定だ。

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201805/0011274094.shtml