夜勤を含めたシフト勤務で働く人は、日中働く人と比べて2型糖尿病の発症リスクが高まる可能性のあることが「Diabetes Care」2月12日オンライン版に掲載の論文で報告された。

 この研究は、英国の約34万人の労働者のデータを分析したもので、勤務時間が不規則な人や夜勤を含めたシフト勤務で働く人は、
日勤だけの人と比べて2型糖尿病リスクが44%高いことなどが示された。

 論文の筆頭著者である米コロラド大学概日リズム・睡眠疫学研究所のCéline Vetter氏は「シフト勤務の中でも特に夜勤は人間の社会的リズムと生物学的なリズムに混乱をもたらし、
2型糖尿病などの代謝性疾患リスクを高める可能性が示唆されている」と指摘している。

 Vetter氏らは、現在シフト勤務をしている27万2,214人と過去にシフト勤務歴のある7万480人の英国人を対象に、
勤務状況と2型糖尿病リスクとの関連を調べた。その結果、日勤だけで働く人と比べて、現在、シフト勤務だが夜勤は全くないかほとんどない人は2型糖尿病リスクが1.15倍、
たまに夜勤で働く人は1.18倍、主に夜勤で働く人は1.44倍であり、夜勤の頻度が高いほど2型糖尿病リスクも高まることが分かった。

 また、シフト勤務歴がない人と比べて、夜勤で働く頻度が月に3回未満の人では2型糖尿病リスクは1.24倍であったが、
月に8回を超える人ではリスクは1.36倍に上り、1カ月の夜勤回数が多いほど2型糖尿病リスクは高まっていた。Vetter氏によると、
この研究は夜勤の回数が増えるほど2型糖尿病リスクが高まるという用量反応性の関係を初めて示したものだという。

 一方で、常に夜勤で働く人では糖尿病リスクの上昇は認められなかった(オッズ比は1.09)。この点について、
Vetter氏らは「常夜勤で働く人は夜勤シフトに身体が慣れているか、もともと夜更かしする傾向が強い人である可能性もある」と指摘している。

 米国では約1500万人が常夜勤やシフト勤務などで働いていると推計されている。「夜勤を避けられない場合には、健康的な食生活を送り、
体重が増えすぎないように注意し、運動や睡眠に配慮することで健康リスクは低減できる」とVetter氏は助言している。

 また、同氏らは、この結果はシフト勤務と2型糖尿病の因果関係を証明するものではないが、
「最近では他の研究でも勤務スケジュールと心疾患や糖尿病、がんリスクとの関連が報告されている」と付け加えている。

https://mainichi.jp/premier/health/articles/20180307/med/00m/010/012000c