イナゴ、蜂の子、ざざ虫−。
山に囲まれ古くから虫を食してきた長野県伊那市の市創造館で、国内外の昆虫食文化を学べる「大昆蟲食博」が開催されている。
3月には試食イベントもあり、捧剛太館長は「怖がらずに見に来て一度は食べてほしい」と話す。5月7日まで。

細長い胴体から伸びる立派な脚。ぷくぷくした幼虫。
展示室に入ると、砂糖やしょうゆで煮込まれたつくだ煮などの料理が並ぶ。実物の虫を乾燥させた標本や、蜂の子捕りのドキュメント映像も。
虫だらけの世界に、思わず息をのむ。

「サソリはエビせんべいのようにパリパリ」といった解説文は、東南アジアで食される昆虫を、捧館長が実際に食べて書いたもの。
現地の調理方法は素揚げが一般的という。カンボジアで好まれるコオロギは日本に比べると巨大で、皿の上で黒光りしていた。タランチュラも展示されていた。

海のない長野県では、古くから昆虫が貴重なタンパク源だった。
農業や産業との結びつきが深く、稲の害虫として駆除されたイナゴが食卓に上り、養蚕業では蚕のサナギや脱皮殻を食べたり薬にしたりしていた。

国連食糧農業機関(FAO)の平成25年の報告書によると、世界で食べられている昆虫類は1900種類以上。栄養価が高く養殖効率も良いとして、国連も昆虫食を推奨している。

企画展に来ていた伊那市の早川宏さん(53)は「最近は虫を見ることも減った。今後も伊那の食文化が継承されていってほしい」と期待。
駒ケ根市から夫婦で訪れた60代男性は「栄養があると言われても素揚げは怖い。もっと調理方法を工夫すれば、他の国でも受け入れられるのでは」と提案した。

開館時間は午前10時〜午後5時。入場無料。

http://www.sankei.com/life/news/180207/lif1802070050-n1.html
http://www.sankei.com/images/news/180207/lif1802070050-p1.jpg
http://www.sankei.com/images/news/180207/lif1802070050-p2.jpg