JASRAC 「タイタニック」なら18万円が5億円超に

 JASRAC(日本音楽著作権協会)が、来春から洋画に使われている音楽の使用料について徴収方法を改める方針を示したことが、
波紋を広げている。現在は上映時に「1本18万円」の定額制だが、将来的には興行収入(興収)の1〜2%にする意向で、事実上の
大幅値上げ。興収の2%になれば、「タイタニック」(国内興収262億円)だと音楽使用料が約5億2400万円にもなる。映画館や
配給会社の負担が大きく、入場料の値上げにつながる恐れもある。

 「小さな配給元が興収の2%を徴収されればやっていけない。結果的に大資本が配給するハリウッドやディズニーの洋画しか
上映されなくなる。音楽使用料の負担を入場料に転嫁する動きが出るかもしれない」。ある配給会社の経営者は不安を漏らす。

 日本で放送やカラオケ、店のBGMとして使われている楽曲の約98%は、JASRACが使用料の徴収を著作権者から任されており、
徴収方法は使用者との協議の上でJASRACが決めている。映画音楽の使用料は、配給会社から全国の映画館などで構成する
「全国興行生活衛生同業組合連合会」(全興連)を経て、JASRACに渡り、著作権者に分配されている。

 日本では一律18万円の洋画の音楽使用料も、欧州各国では興収の1〜6%。例えばフランスは興収の2%で、2014年の
徴収総額は約22億7300万円。日本だと同年は約1億6600万円だが、もし2%を徴収されると、洋画だけでも約17億2600万円
に達することになり、業界全体が被る負担は増大する。

 国内では洋画の興収が年々、目減りしており、10年の約1025億円から、昨年は約869億円まで落ちている。音楽使用料の
負担が増大すれば、規模を問わず配給側の打撃は大きい。

 一方、邦画はJASRACが定めた音楽使用料に公開時のスクリーン数を掛けて徴収するが、公開後の館数の拡大やロングランは
反映されず、JASRACは邦画についても将来的な見直しを示唆している。

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https://mainichi.jp/articles/20171118/k00/00e/040/276000c