2024/04/14 05:00

 [New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「レコード生産」。



 レコード人気が再燃する中、レコードの生産に必要な「ラッカー盤」を製造する企業「パブリックレコード」(長野県宮田村)が注目を集めている。
なぜかと言えば、ラッカー盤の製造拠点は今や世界でここだけだからだ。日本の、長野の一企業が、世界的なレコード需要を支えている。





拠点は長野・宮田村、9割が海外向け

 ラッカー盤は、いわば「レコードの元」(原盤)となるもの。アルミ盤にラッカーという塗料を薄く塗って作る、つるんとした円盤だ。

 ミュージシャンがアナログのテープやデジタルデータなどに録音した音源は、カッティングエンジニアと呼ばれる職人により、
ラッカー盤に音溝として刻まれる。それを元に金属の型を作り、スタンプのように複製することで、市販のレコードが大量生産されるというわけだ。

 東京から特急と在来線を乗り継いで4時間半。パブリックレコードは田園が広がるのどかな山間部の一角にある。
同社の3代目・奥田聖社長(49)によると、ここで年間約12万枚のラッカー盤を製造し、9割以上が海外向けだという。

 製造には高い精度が求められる。カッティングエンジニアが意図通りの音を刻むためには、盤面に凹凸や傷がなく、平らであることが重要だからだ。
アルミ盤を研磨して洗浄し、ホコリなどが付いていないか入念に検査した後、ラッカーを塗装していく。1日かけて乾燥させ、反対側に塗ってまた乾燥。1枚製造するのに10日間ほどかかる。




CD全盛期は苦境
https://www.yomiuri.co.jp/culture/music/20240413-OYT1T50108/