2023.12.08

『キカイダー01』の後半を支えた人気キャラ「ビジンダー」が登場して50年になります。人間体・マリを演じた志穂美悦子さんの本格的デビュー作でもあります。そのアクションのキレとお色気は今でも語り継がれるほどです。
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作品後半の盛り上げに成功したワケは?

『キカイダー01』後半の人気キャラ、ビジンダーのフィギュア、「東映レトロソフビコレクション キカイダー01 ビジンダー」(メディコムトイ)
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 本日12月8日は、1973年に『キカイダー01』第30話「悪魔?天使?ビジンダー出現!!」が放映、ビジンダーが初登場した日です。今年で半世紀が経ちました。作品に新たな方向性を与えたビジンダーについて振り返ってみましょう。

 ビジンダーは『キカイダー01』に登場した女性型ロボット。普段はマリという人間の女性の姿で活動しています。その本来の役割は01を抹殺すること。女子供には弱い01の性格を踏まえて作り出された悪の人造人間でした。

 そのため、高い戦闘力を持ち好戦的な性格を持つビジンダーとは真逆に、人間体のマリの姿の時は女性らしい慈愛に満ちた性格を持っていたのです。そして01を道連れに自爆するべく、体内には小型水爆が内蔵されていました。

 このビジンダーの境遇を哀れんだ01/イチローは、「弟ジローと同等の心を持ってほしい」との気持ちで、不完全ながら良心回路を取り付けます。これをきっかけに、ビジンダーは自身を作り出した悪の犯罪組織「シャドウ」と戦うことになるのでした。

 ここでの新キャラクター登場は、前作『人造人間キカイダー』から引き続き登場していたキカイダー/ジローの代わりに、ビジンダーを新たな01のパートナーにするという意図があったそうです。
それはジロー役の伴大介さんが新しく始まったTV特撮番組『イナズマン』の主演により、本作に出演することがむずかしくなったからでした。

 こうして『01』の新たなレギュラーとなったビジンダーですが、その登場以降、主役交代とも言えるほどの活躍を毎回見せることになります。
それはビジンダー登場以降のサブタイトルを見れば一目瞭然。17本中、「ビジンダー」の名前が入ったサブタイトルが8本。半分近くに名前が使われています。

 これは本作の主人公01/イチローが主人公として完璧すぎるゆえでした。前作ジローのような人造人間として悩み苦しみ、
葛藤する存在であるマリを生み出したことで、どうしてもドラマの中心がそちらに移ったからです。それゆえビジンダーは後半の主役とも言える立場のキャラクターになっていきました。

 このビジンダーに加えて第37話から登場するワルダーの存在が、本作後半を大いに盛り上げます。殺し屋ロボットで01と互角以上の戦いを繰り広げる強敵ですが、
善悪の判断がつかず、それゆえ「悪い奴には吠え、泥棒には噛みつく」という心を持った存在である犬が苦手という一面を持っていました。

 ビジンダーに恋愛感情に近いものを抱くというワルダーの登場は、終盤までのドラマに大きな影響を与えます。このビジンダーとワルダーの存在が、本作後半の大きな見どころと言えるでしょう。


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