なぜかTV放映されない『海がきこえる』 「ジブリ」の人気作も宮崎駿が認めなかった?
9/22(金) 20:10 長野辰次 (マグミクス)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ce5b4ecfdcbe485f35dc17d7cad8d0f8db7b6d2c
ヒロインの性格描写も際立っていた『海がきこえる』  (C)1993 氷室冴子・Studio Ghibli・N
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◆ブランド力の高さを誇る「宮崎駿」とスタジオジブリ

 宮崎駿監督の劇場アニメ『君たちはどう生きるか』は、2023年7月14日より公開が始まり、現在もロングラン上映が続いています。公開10週目となった9月17日時点で、興収81億6000万円を記録しています。

(※中略)

◆夕方の放送で視聴率17%を超えた『海がきこえる』

 宮崎駿作品が頻繁にテレビ放映される一方、ジブリ制作なのにテレビではあまり見ない作品もあります。その筆頭に挙げられるのが、「スタジオジブリ若手制作集団」による『海がきこえる』(1993年)です。

 月刊誌「アニメージュ」に連載された氷室冴子さんの青春小説を原作にした『海がきこえる』は、1993年5月5日に日本テレビ系でテレビ放映されたスペシャルアニメです。16時から17時30分の放映枠にもかかわらず、関東地区で視聴率17.4%という驚異的な数字を記録しています。

 原作小説の挿絵を描いた近藤勝也氏がキャラクターデザインと作画監督を担当し、『めぞん一刻 完結篇』『きまぐれオレンジロード あの日に帰りたい』(ともに1988年)を手掛けた望月智充監督が、外部監督として招かれています。宮崎監督と高畑勲監督は、制作にはタッチしていません。ジブリの将来を占う、試金石でした。

「宮崎・高畑には絶対つくれない作品」と鈴木敏夫プロデューサーが絶賛した『海がきこえる』ですが、初回放映の後は2011年に日本テレビ系で再放映されたきりとなっています。

 DVD&ブルーレイ化はされており、今も根強い人気がある作品です。でも、なぜかテレビ放映されることはありません。

(※中略)

◆『耳をすませば』を酷評され、宮崎駿が激怒

 話を『海がきこえる』に戻します。『海がきこえる』の地上波放映が少ない理由は、いくつかあるようです。未成年である主人公たちが酒を呑むシーンが2度にわたってあり、どちらもカットできない重要な場面です。コンプライアンス的に好ましくないのでしょう。また、本編時間が73分のため、2時間枠の「金ロー」では放映しづらいというのもあるようです。

 しかし、それだけが理由ではないように感じます。

 高知にある私立高校を舞台にした『海がきこえる』のヒロイン・武藤里伽子のキャラクターが、それまでのジブリ作品のヒロイン像と異なり過ぎたことも少なからず関係しているように思えるのです。

 東京から転校してきた里伽子は美人で成績もよく、テニスもうまく、たちまち学校中の注目を集めます。しかし、性格はわがままで、主人公・杜崎拓をさんざん振り回します。宮崎監督が描いてきたナウシカのような「理想の女性」像とは、真逆とも言える「リアルな女性」像だったのです。

「私、生理の初日が重いの」と男性主人公に面と向かって口にするヒロインは、宮崎アニメでは考えられない存在です。

 氷室冴子さんの原作小説『海がきこえる』の文庫版の解説によると、社会学者の宮台真司氏は『耳をすませば』(1995年)の完成直後の宮崎監督と対談し、【『海がきこえる』のほうがずっと面白い、『耳をすませば』に感激するのは、小学生低学年以下とジジババだけではないか】と言ったところ、宮崎監督は激怒したそうです。

(※以下略、全文は引用元サイトをご覧ください。)