来春からは事故防止や投手の負担軽減のために金属製バットの基準が変わり、打球が飛びにくくなる。安全性が高まる一方、金銭面を心配する声もある。

 新たな基準では、最大直径は現行の67ミリから64ミリ未満になる。一般的な木製バットに近づけた。反発を軽減させるために金属の肉厚を分厚くすることで、打球の初速は現行よりも遅くなる。投手への打球の到達時間が長くなることで、重大事故をできるだけなくそうというものだ。

 金属製バットの性能は向上するとともに、打球は鋭くなった。有識者会議では、バットの反発性能を見直す声が上がっていた。2019年夏の全国選手権大会では打球が投手の顔面を直撃し、骨折した。

 この大会後に見直しを決定。各加盟校へのヒアリングなどを経て、昨年2月に新基準が決まった。

 ただ、課題もある。大きいのは経済的な負担だ。各メーカーともに、製品によっては1万円近く値上がりし、4万円程度かかるものもある。

 朝日新聞社は5月から6月にかけて、今夏の全国高校野球選手権の地方大会に出場する高校の監督や部長向けに用具に関するアンケートを実施。全国27都道府県の2093校から回答を得た。

 アンケートでは「新規格のバットをそろえることに経済的な不安を感じるか、感じないか」と尋ねたところ「感じる」が1786校(85・3%)。「感じない」の180校(8・6%)を大きく上回った。

 自由記述欄では「公立高校の限られた部費の中で購入するには非常に大きな負担を感じる」「野球人口の低下につながる」など、不安を抱く記述もあった。

 日本高野連は経済的な負担を減らすために、新基準バットを2本ずつ加盟校に配るなどの対策を行っている。(松永和彦、谷瞳児)

https://www.asahi.com/articles/ASR8Z3VS4R8KOXIE039.html
朝日新聞
2023年8月31日 6時00分