Football-zone4.23
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鹿島アントラーズの低迷はここ数年の成績から見ても明白だ。J1リーグ最多8度の優勝を誇る名門クラブはここ6年間、国内タイトルから遠ざかり、直近3シーズンで監督交代劇が繰り広げられてきた。“常勝軍団”の面影なきクラブに今、なにが起きているのか。近年のJリーグで躍進を遂げてきた川崎フロンターレや横浜F・マリノスらライバルクラブとの比較から、欠落ポイントを考察する

岩政大樹監督が率いる鹿島アントラーズは現在8試合を終えて勝点7の15位と苦しんでいる。長く鹿島のフットボールダイレクターを務め、“常勝軍団”の礎を築き上げた鈴木満氏はかつて「勝っていない時こそ、我慢は必要」ということを説いていたが、まだまだ序盤戦とはいえ、鹿島がここまで順位を落としたことは国内タイトルを逃しているここ6年間を見ても記憶にない。

順位もさることながら首位のヴィッセル神戸をはじめ名古屋グランパス、サンフレッチェ広島という3チームと勝点10差以上を付けられており、リーグタイトルを基準で見るならば、限界値を超えてしまったという見方も間違いではないだろう。ただ、そもそも岩政監督が鹿島の変革を掲げている状況をどう捉えるかで、評価基準も多少変わってくる。

その意味でもそもそも、なぜ鹿島が6年もの間、国内タイトルを逃し続けているかを振り返る必要がある。そして鈴木氏から強化担当を引き継いだ吉岡宗重フットボールダイレクターとともに、岩政監督が何をどう変革しようとしてきたのか。世界のフットボールが進化するなかで、Jリーグも少なからず変化している。

これまで2018年のAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)優勝を含む20ものタイトルを獲得し、“常勝軍団”の名を欲しいままにしてきた鹿島だがだからこそ、のちにパリ五輪世代の日本代表監督となる大岩剛監督のラストシーズンとなった2019年あたりから、Jリーグの進化に乗り遅れる危機感は関係者の中からも伝わってきた。

それまで鹿島は“ジーコスピリット”を合言葉に、どんな試合でも100%で勝利を目指すこと、そのためにチームが結束することを掲げ、2度の黄金期をピークに、勝者のメンタリティーが受け継がれてきた。

しかし、2017年のリーグ優勝から6年間で6つのタイトルを獲得してきた川崎フロンターレ、マンチェスター・シティを総本山とするシティ・フットボール・グループ(CFG)のコンセプトをベースに、先鋭的なアタッキングフットボールを押し進めて2度のリーグ優勝を果たした横浜F・マリノスのような戦術的なカラーが希薄で、チーム戦術の不足感を個人戦術で埋めるという傾向が顕著になってきていた。

そうした状況で、2020年のザーゴから相馬直樹、レネ・ヴァイラーと監督が移り変わるなかで、鹿島のフットボールとは何かというものが模索されてきたが、結局明確なものは定着しないままここまで来てしまった。

ヴァイラー前体制下でコーチを務めていた岩政監督は2022年の8月に途中就任した当初、ボールを奪ったら素早く攻め切る前監督のサッカーを踏襲しながら、その段階で足りなかったゲームコントロールや攻守のバランスを改善することを主眼に置いていた。しかしながらシーズン終盤戦に差し掛かり逆転優勝の可能性が消失する前後から、すでに新たなコンセプト作りに着手しようとしていたのは岩政監督の言動の変化からも見え隠れしていた。

現在の潮流にマッチさせながら、川崎とも横浜FMとも違う鹿島のカラーを作っていく。岩政監督が出した解答は相手のウィークポイントやミスマッチを常に見つけて、狙いを持って突いていくという戦術コンセプトだ。分かりやすく例えるなら対戦相手に応じて“あと出しジャンケン”を繰り出すこと。例えば岩政監督は“繋ぐ・蹴る”ではなく“動かす・飛ばす”というワードを使っているという。相手のディフェンスを見ながらボールを動かして外すのか、スペースに飛ばすのか。そうした言葉だけでも、岩政監督の狙いは伝わる。

ただ、そのあと出しジャンケンのグー、チョキ、パー、おそらくどれもクオリティーは足りていないというのが現状のリアルな評価だ。この数年、タイトルが獲れていない要因として“勝者のメンタリティー”が薄れていることが指摘されるし、筆者もそれは感じているところもある。しかしながら、やろうとしているプレーの質がまだまだ不足していて、そこで生じるミスやギャップというものを気にすれば、“勝者のメンタリティー”以前に勝ち筋は見出しにくくなる。

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