日本初の本格ドリフト映画が世界を席巻

2022年6月に公開された「アライブフーン」は監督:下山天、主演:野村周平。eスポーツ日本一のレーサーが、解散の危機に陥ったドリフトチームにスカウトされ、ドリフトの頂点を目指す様子を描いた映画。CGではなく実車が使用され、撮影されている。

日本初の本格ドリフト映画が、いま世界を席巻しつつある。

2022年6月に公開された「アライブフーン」(配給:イオンエンターテイメント/監督:下山天)は日本人の監督とスタッフ、俳優陣そして世界トップレベルの日本人ドリフトレーサー達によって作られた映画だ。

ほとんどのロケはドリフトの聖地「エビスサーキット」を中心に福島県内にておこなわれており、シルビアS15(エンジンは2JZ)、GRスープラ、GRヤリス、マークII(2JZ)、チェイサーなど出てくるドリフト車両もすべて日本車という完全な純日本映画である。

ところが、映画自体の評価はすこぶる高かったが、日本での公開時には、中にはロングランで上映された劇場もあったものの、それほどの盛り上がりはみられなかった。

下山監督の友人でもあるゲーム作家の健部伸明氏は以下のように話す。

「わたしはすでに6回劇場で見ていますが、アライブフーンはハリウッドが百倍の予算を出したとしても、この映画は撮れないでしょう。お金を出せば撮れる種類の映画ではありませんからね」

「何十人ものさまざまの分野のプロが、熱く本気になってコストを大きく超える仕事をしています。こんな映画が日本で実現したこと自体が奇跡ともいえるでしょう」

日本での公開を終えたあと、8月末頃からは海外での上映が始まったわけだが、日本とは反対にアライブフーンの快進撃が始まった。

シンガポールでは「陸のトップガン」と評され興行収入6位。9月に米国シカゴで開催された映画祭「Asian Pop-Up Cinema」では最高栄誉である「Audience Choice Award/観客賞」を受賞した。

世界15か国で劇場公開されシンガポール、タイ、台湾ではトップ10入りしてタイの映画サイト人気ランキング1位を獲得。

台湾では6週間のロングラン、フィリピンでは25万人を動員、オランダの映画祭では観客投票3位、そしてアメリカ・シカゴの映画祭では観客投票1位となった。

また、この原稿を書いている2月13日現在、世界最大の映画評価サイト「IMDb」におけるUSユーザーの評価は何と日本映画史上最高点の「9.0」を記録している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b4661ccba05d2fbbab4a0e3e52060bc5b34a5f46