「週刊文春」編集部 2023/01/23

「部員が寮で重傷を負ったにも関わらず、学校側は保護者会も開催せず、何の説明もしていません」

 こう告発するのは、1月9日に幕を閉じた全国高校サッカー選手権大会でベスト16まで勝ち上がった、私立日本文理高校(新潟県)サッカー部の関係者である。

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スポーツ強豪校で起きた“事件”とは

 日本文理高は1984年創立。新潟では「ブンリ」の通称で親しまれている。

「スポーツ強豪校として知られ野球部は夏の甲子園に県勢最多の12回も出場している。近年はサッカーにも力を入れており、2017年には全国選手権初出場でベスト8まで勝ち上がった。全国各地からのスポーツ推薦を含めサッカー部の部員数は約140名。名門・国士舘大学サッカー部出身の駒沢隆一氏が監督として長年指揮を執っています」(地元記者)

 そんな強豪校で“事件”が起きたのは、昨年9月30日夜のこと。

「多くの部員が生活する第一学生寮で、ある1年生部員が寮の世話人に許可を取った上で、別の寮に忘れ物を取りに行ったのです。ところがその子が門限の10時の点呼に間に合わなかったため、3年の先輩がバリカンを持ち出し、丸刈りにしてしまった」(前出・関係者)

キーパーの命である腕を骨折したB君。夢を諦めて転校することに

 さらに、別の3年生部員A君がボクシンググローブを持ち出してきた。

「A君は丸刈りになった部員を、スパーリングと称して一方的に殴りつけたのです。A君は『すぐに終わって面白くない』と言い、今度は2年生部員のB君を相手に指名した」(同前)

 だがA君は、体格に勝るゴールキーパーのB君をやり込めることができなかった。その後、B君が自室に戻り、棚の上に座っていたところ、

「A君がB君にグローブを投げつけ、さらにB君の足を引っ張った。B君は棚から転げ落ち、腕から落下してしまったんです」(同前)

 激痛が走り、病院で診てもらうと左手を骨折していた。入院と手術を余儀なくされ、全治1年半との診断が下された。

「10月下旬には監督と教頭を交え、A君とB君及び双方の保護者で話し合いが持たれ、A君が謝罪した。学校はA君を厳重注意し、学校内外の清掃などの奉仕活動に従事させる処分を下しました。一方、キーパーの命である腕が当分使えなくなったB君は、サッカーのために県外から新潟まで来たのですが、夢を諦め、転校することになったのです」(別のサッカー部関係者)

 さらにサッカー部を巡っては、こんな告発もある。

「3年生を中心に、寮での飲酒と喫煙が常態化しています。自室で酒を飲み、寮のベランダでタバコを吸っているのです」(同前)

B君の母は「悔しいです」

 当事者はどう答えるか。駒沢監督を直撃すると、

「B君の件はしっかりと対応させていただいている。結果的にB君が怪我をされたがどちらかが一方的に悪いというわけではない。寮で起きた件で、もちろん学校側に責任はある。飲酒・喫煙はないと思います」

 一方、B君の母は直撃に重い口を開いた。

「息子は、将来学校の先生になりたいと一生懸命サッカーに取り組んできました。でもこの怪我で、高校サッカーで活躍する道は絶たれてしまった。悔しいです」

 今後、学校との訴訟も辞さない構えだという。

https://bunshun.jp/articles/-/60224