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2022.12.24

その昔、アニソンの歌詞には多くの場合、その作品のタイトルやキャラクターの名前が含まれていました。また、クリスマスやお正月には、その季節らしいエピソードが流れるのが定番でした。そんな例が少なくなったのには、何か理由があるのでしょうか?アニメ業界の片隅で生きる著者・おふとん犬が解説します。

串田アキラさんの歌う「キン肉マンGo Fight!」は、タイトルの通り『キン肉マン』のユーモラスかつ熱い世界観を歌にしたもので、おじさん世代がカラオケで歌うアニメソング=アニソンの定番です。もう少し若い世代になると、『勇者王ガオガイガー』の主題歌で遠藤正明さんの歌う「勇者王誕生!」だったりするでしょうか。もちろん、他にもたくさんの、定番中の定番と言える名曲があります。

アニソンはひと昔前まで、オリコンランキングの上位に載るような曲に比べると、格下のものとして扱われるのが普通でした。一般のリスナーだけでなく、アーティストや音楽レーベルにとってもです。CD販売が音楽ビジネスの主流だった頃は、ジャケットやライナーノーツにアニメの絵が使われるのを嫌がるアーティストも、珍しくありませんでした。アニメには関係はないがアニメファンに好かれるとイメージダウンになるからという理由で、レーベル側に路線変更を申し出る事例もあったと、聞いたことがあります。

アニソンの地位向上の陰には、串田アキラさんや遠藤正明さん、先日亡くなった水木一郎さんなど、偉大な先達による長年にわたる苦闘と努力の歴史があったわけです。

とはいえ、現在は「キン肉マンGo Fight!」や「勇者王誕生!」のように、作品の世界観やタイトルをそのまま楽曲に織り込んで歌う王道のアニソンは、すっかり少なくなったように思います。「アニソン歌手」というくくりも同様です。水樹奈々さんやLiSAさんがそのように呼ばれることはありますが、おふたりの歌は、決して「特定のアニメありき」で作られているものではないでしょう。

「このアニメを広く視聴者に届けるためのテーマ曲を作ってほしい」ではなく、「このアニメに出資するのと引き換えに主題歌を作ってビジネスをしていい」という、いわゆる音楽タイアップの形が一般的になったのが最大の理由です。

もちろん、タイアップする作品を深く研究し、より作品を輝かせる楽曲を作るアーティストがほとんどです。それでも、作品ありきではなく、アーティストとしての自分自身の世界観を前面に打ち出して楽曲を作るのが普通です。「キン肉マーン!」や「ガガガ、ガオガイガー!」と歌のなかで叫んだりすると、アニメファンは喜んでくれるが、アーティストについているお客さんには届かなくなると考えるからです。

そういったことを踏まえると、事実上、アニソンというジャンルが「もう存在しない」とも言えます。否定的に言っているのではなく、アニメビジネスの発展によって、ジャンルの垣根自体がほとんどなくなったという意味です。

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