2022/9/5 17:16

石井 健

歌手で俳優の石橋凌(66)が、5年ぶりの新作アルバム「オーライラ」を発売した。「学生時代からロックを始めて50年。集大成のような作品になりました」。出来栄えに自信を見せる。

収録曲は10曲。すべて、新型コロナウイルス禍の自粛期間中に書き上げた。

「創作の時間はたっぷりあった」。そこで、普段とは違う作り方を試みた。行きつけの喫茶店でノートを広げ、歌詞と旋律が同時に〝降ってくる〟のを、待ち続けたのだ。

これまでにも歌詞と旋律が瞬時にひらめき、出来上がった歌が、まれにあった。それらの歌は、言葉と旋律とリズムが有機的に結びつき、完成度が高く、広く、長く愛されているという。

自粛期間を逆手に、時間をかけて、天命的な〝ひらめき〟を呼び寄せてやろうということだったが、なんと、これが成功した。

「あるときついに、歌詞と旋律が同時に降りてきたんですよ。別のあるときは、あきらめて喫茶店を出て歩いているとゲリラ豪雨のように降ってきた。喫茶店に引き返して『コーヒーお代わり!』。歌詞をノートに書き留め、旋律は頭の中に刻み込みました」

当初、このやり方で8曲作ることを目指した。アルバムには10曲入れたいが、あと2曲は昔のレパートリーをリメークすればいい。だが、10曲できてしまった。

「あの期間だからこそ、なにか特別に自分の中にたまっていた言葉や思いがあったのでしょう」

俳優だ。北野武監督の「キッズ・リターン」(平成8年)、最近では「マスカレード・ナイト」(令和3年)や4月ドラマ「やんごとなき一族」(フジテレビ系)など多数の映画、ドラマで活躍している。

だが、世に出たのは伝説的なロックバンド、ARBのボーカリストとしてだった。昭和53年のことだ。

https://www.sankei.com/article/20220905-XHFPWPIIC5JV3EWPEPB7HWJEMQ/