https://dot.asahi.com/dot/2021080500067.html

東京五輪で金メダルを獲得した女子ソフトボール日本代表・後藤希友が出身地である名古屋市役所を4日に表敬訪問した際、「事件」が起きた。後藤に金メダルを首に掛けてもらった河村市長が手に取って「重たいな」とつぶやくと、突然マスクを外して金メダルに噛みついた。後藤は苦笑いを浮かべたが、非常識で済まされない行動だ。
中略
だが、これでは終わらない。河村市長の「謝罪コメント」が火に油を注いだ。報道によると、「(メダルをかむ行為は)最大の愛情表現だった。迷惑をかけているのであれば、ごめんなさい」とコメント。当人はそのつもりはないかもしれないが、反省の意が全く伝わってこない。作家の乙武洋匡氏は「『主役は自分だ』という自己愛。そんな自分への『最大の愛情表現』」と皮肉を交えて指摘し、元プロサッカー選手の武岡優斗さんも「愛情表現とは?????見苦しい言い訳過ぎて…迷惑どうのこうの問題じゃない。そもそも論。リスペクトのなさが最大に行動や言動に出てますね」と批判した。

河村市長のツイッターは苦情や怒りのコメントが止まらない状況になっている。「噛むってことは唾液が着くんだよね?唾液って体液ですよね?相手の所有物に体液を付けたって事?器物破損罪とかにならんの?絶対にこの市長許せないんだが…(原文ママ)」、「これが本気なら辞任するべきですよ。あなたは名古屋市民の為に存在しているんです。金メダルを勝ち獲った名古屋市民に感謝が必要で、あなたの愛情は必要ないんです(原文ママ)」などのコメントが。

地元・名古屋のテレビ関係者は、「映像を見て唖然としました。河村さんは批判が殺到するまで、事の重大性を認識していなかったのではないか。謝罪コメントを見ても、切迫した感じが伝わってこない。プライドが邪魔しているのでしょうけど、記者会見を開いて謝罪しなければ収拾がつかない状況になっています。あと一番心配なのが後藤選手の精神状態です。あの場では苦笑いを浮かべていましたが、大切な金メダルをかじられたショックは後になって感じると思います。JOCが動いて可能なら新しいメダルに交換するべきではないでしょうか。交換に費用が必要なら河村さんが補填するべきです」と話す。

後藤はチーム最年少の20歳左腕。全6試合中5試合に登板して10回2/3を無失点、22奪三振の快投で日本の金メダル獲得に大きく貢献した。報道によると、今回の表敬訪問で、「私は名古屋が大好きなので地元に金メダルを持ち帰れたのは本当に良かった」と語ったという。故郷に笑顔で金メダル獲得を報告するはずが、金メダルをかじられる「愚挙」に巻き込まれた。河村市長は猛省すべきと共に、メダルの交換について関係者が行動に移すべきだろう。(牧忠則)