8/2(月) 6:15配信
東スポWeb

あん馬で銅メダルを獲得した萱和磨(ロイター)

 体操界で誰よりも「ガッツポーズが似合う男」がいる。体操・男子種目別あん馬の決勝(1日、有明体操競技場)で銅メダルを獲得した萱和磨(24=セントラルスポーツ)だ。いつだって演技を終えると右手の拳を握って、力いっぱいに振り抜く。

 この日もそうだった。団体では約0・1点差で銀メダルに泣き、リベンジを誓った個人種目別のあん馬では最高難度のブスナリを披露し、結果は銅メダル。フィニッシュ直後は「ヨッシャー!」と叫んで拳を握った。そのシーンだけを見ると、まるで金メダルだった。

 なぜ、萱はガッツポーズをするのか? 以前、取材で問うと「やり切った気持ちもありますが、それで勢いがつけられるし、チームの中でいい連鎖になると思って」。結果に対するアクションというよりは、自らの心と仲間を鼓舞する意味が込められているという。

 幼少期は気が小さく、泣き虫だった。母・恵子さんは「試合前にカツ(勝つ)を食べさせたり、神社へ行ったり、ドキドキしないおまじないも考えました」と明かす。すると徐々に結果が伴い、気付けば「自信を持って強い心を持てるようになってくれました」と振り返った。

 萱は「僕は才能があると言われたことはない」というが、そんな自分でも強い気持ちと不断の努力があれば勝者になれると気付けたことが財産だった。母がくれたおまじない≠ヘ今、ガッツポーズとして生かされている。

 試合後の萱は「パリで金メダルを取りたい」。社会人1年目の2019年4月、初任給で金のブレスレットを購入。母に「試合を見る時のおまじないに」と贈った。次のパリでは、同じ色のメダルを母にプレゼントする。

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