https://news.yahoo.co.jp/articles/ae472f14e0f845bb641c853e299ad0331ae6fd58?tokyo2020

13日まで開催された柔道世界選手権ブダペスト大会で、女子78キロ超級で朝比奈沙羅(24)(ビッグツリー)が2度目の世界女王に輝いた。医者を志し、競技との両立を目指している朝比奈は、試合後の行動でも称賛を浴びた。

決勝では、初出場の冨田若春(わかば)(コマツ)との日本人対決が実現。足技で攻める朝比奈に対し、冨田も担ぎ技で対抗し、延長戦にもつれ込んだ。両者とも指導が二つ重なった試合時間9分過ぎ、冨田が担ぎ技を仕掛けた際に左膝を痛めて歩けなくなった。主審は冨田に指導を与え、朝比奈の反則勝ちを宣告。優勝した朝比奈はけがで動けない冨田を背負い、畳に一礼して会場を去った。

冨田は「自分の足で畳を下りたかったのが本音。ただし、朝比奈選手にはとても感謝しています」とコメント。朝比奈は代表取材に「置き去りには出来なかった。日本チームの一員として、痛がっているまま置いてはいけない」と語った。全日本柔道連盟の山下泰裕会長も「自然に出た行為だと思うが、柔道が改めて『勝った、負けた』だけではないことを認識させてくれた」とたたえた。

朝比奈は東京五輪代表を逃した後、昨年4月に独協医大医学部に入学。実習や課題などで十分に稽古の時間が取れず、昨年12月の全日本女子選手権では初戦敗退を喫していた。並々ならぬ意欲を持って臨んだ今大会。強さだけでなく、優しさを兼ね備えたその振る舞いは、世界女王にふさわしかった。(松田陽介)

https://amd-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20210623-00050144-yom-000-4-view.jpg