https://news.yahoo.co.jp/byline/kawamurameikou/20210504-00236016/

◇「ウマ娘」 月100億円の話は本当?

 「ウマ娘」について、同作単体で月100億円以上を稼いだと報じる記事もありました。真偽はどうなのでしょうか。

スマホゲーム事業の5年間の四半期の営業利益。2021年第2四半期が突出しています。第1四半期と比べると一層際立ちます=サイバーエージェントの2021年度第2四半期決算資料から

 ゲーム事業の5年間の四半期営業利益を見ます。2021年度の第1四半期(11億円)の落ち込みがあるだけに、第2四半期(232億円)の突出が浮き彫りになります。

 スマホゲームは基本的はどれだけ面白くても「飽きる」ので、事業で見ると月日の経過とともに売上高、利益ともに右肩下がり(減収減益)になります。そこで既存タイトルの低下をできるだけ食い止め、新規タイトルを展開することで事業の成長を描きます。

 第1四半期と比べると売上高は340億円増、営業利益は221億円増。前年同期と比べても売上高は191億円増、営業利益は128億円増です。仮に「ウマ娘」と「ニーア」が同規模でヒット、既存タイトルも巻き返したと推定しても、「ウマ娘」が月の売り上げ100億円以上を稼いだ可能性が極めて高いという数字しか出てきません。

 同社の経営陣から「ウマ娘」の収益に関する数字の話は出ていませんが、決算の数字、動画会見の内容が雄弁に語っているのです。「ウマ娘」は2月24日のサービス開始なので、わずか1カ月強でこの数字を積み上げたことも恐ろしいですね。

 気になるのは今後、「ウマ娘」の人気がどこまで持続するかです。サイバーエージェントは通期予想の売上高を5000億円から6000億円、営業利益を「300億〜350億円」から「575億〜625億円」と上方修正をかけました。動画会見でも触れている通り、「ウマ娘」のヒットがどこまで続くかは誰にも分かりませんから、これらは抑え目に見積もった数字となります。

 仮に月100億円の売り上げが、右肩下がりでもそこそこのレベルで半年、1年続けば、すさまじい売上高・営業利益になるわけです。もちろん人気を持続するために、同社はあらゆる手を打っているでしょう。第3四半期(4〜6月)の業績は、注目を引き続き集めそうです。