巨人・桑田投手チーフコーチ補佐。初めてプロ野球選手を指導する

 桑田真澄が巨人の一軍投手チーフコーチ補佐に就任した。

 桑田は巨人を退団以来15年、古巣に呼ばれなかった。他球団も使わなかった。評判が良ければすぐに使うのが日本人の傾向。よほど引っかかるものがあったのだろう。

 もう一つ、人の道というのを巨人は知らない。コーチ補佐というが、では主任の立場はどうなるのだ。巨人には宮本和知投手チーフコーチがいる。桑田コーチの言うとおりにやるのであれば、これまで宮本コーチは何をやっていたのかとなってしまう。既存のコーチとの人間関係をよほどうまく構築しなければ、首脳陣はギクシャクしてしまう。

 桑田は「投げ込まないと投手のスタミナはつかない」と語る一方、時代に合った科学的なトレーニングを取り入れるという。これが私には理解できない。練習せずして人は育たない。大切なのは、やるべきことを死ぬまで続ければモノになるという信念だ。いまの時代はこうだから、という指導は間違っている。

 巨人の投手陣はおおむね太っている。練習していない証拠だ。これを食べなければいけないという栄養学の専門家がいるとしても、腹八分目を越えて食べたら害になる。

 私が尊敬する思想家の中村天風は、肺結核を患って血も吐いた。治療法を求めて世界を旅して回ったところ、ヨガの聖人カリアッパ師と巡り会った。インドに連れていかれて稗(ひえ)を水に浸して食べた。天風は「俺は気を食べているから1000カロリー以下の稗でも生きられた」と言った。「気を食べる」とは深呼吸のこと。宇宙のエネルギーがあって人間は生きているのだ。天風は92歳で死去。天寿を全うした。そういう根源的なことを教えなければいけない。

 科学的というだけで、それを盲目的にありがたがるのはおかしい。思考停止の極み。私は西武監督時代、ナインを前に「必勝法70カ条」を説明した。第1条は「常にベストコンディションを保て」。ベストコンディションを保つためにどうすべきかを、具体的に説いた。科学的トレーニングを唱えるのはいい。ただ、そのためにどうしたらいいのかと教える人がいない。それが問題なのだ




誰が一番の責任者なのか巨人は不明瞭

FAで巨人に加入した井納翔一のキャッチボールを見守る桑田コーチ

 今回、桑田を入閣させたのは阿部慎之助二軍監督へのけん制ではないかという見方もある。阿部は罰走など厳しさを前面に押し出す指導をしている。一軍投手コーチの杉内俊哉は「巨人はランニング量、トレーニング量が足りない」と言った。

 2人の考えは間違っていないが、物事を進めるには順序があるということを分かっていない。本来はトップに立つ原監督が命じた上で、各コーチは動くべきなのだ。そこの部分をわきまえずコーチ陣がモノを申すとしたら監督批判も同然。よかれと思ってやっているのだろうが、人の輪を乱しかねない。誰が一番の責任者なのかが巨人は不明瞭なのだ。

『週刊ベースボール』2021年2月15&22日号(2月3日発売)より

●廣岡達朗(ひろおか・たつろう)
1932年2月9日生まれ。広島県出身。呉三津田高、早大を経て54年に巨人入団。大型遊撃手として新人王に輝くなど活躍。66年に引退。広島、ヤクルトのコーチを経て76年シーズン途中にヤクルト監督に就任。78年、球団初のリーグ制覇、日本一に導く。82年の西武監督就任1年目から2年連続日本一。4年間で3度優勝という偉業を残し85年限りで退団。92年野球殿堂入り。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c0e2f2eb2aaac277f3928f78a4fc8a3a80b2d529
2/5(金) 11:02配信

前スレ 2021/02/05(金) 11:16
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