秋山裕之
2021.01.05
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 昨年12月20日(日本時間21日、日付は以下同)、渡邊雄太がトロント・ラプターズと正式に2WAY契約を結んだ。

 2018年、当時23歳だった渡邊はジョージ・ワシントン大卒業後にブルックリン・ネッツの一員としてサマーリーグに出場。平均24.0分、9.4点、4.2リバウンド、1.2アシスト、1.6ブロックを残し、メンフィス・グリズリーズと2WAYを締結して2年間プレーした。

 だが今回はフリーエージェント(FA)としてラプターズとエキジビット10契約(チーム側がオプションを保持する無保証の1年契約)を結んでトレーニングキャンプに参加。プレシーズンゲームを経て開幕ロースター入りを勝ち取っただけに、グリズリーズ時代の2WAY契約よりも価値あるものだったと言っていい。

 プレシーズンでは3試合に出場して平均4.7点、3.3リバウンド、1.0アシストを残した渡邊。この活躍が認められ、一昨季のNBAチャンピオンの一員としてキャリア3年目を迎えた。

 ラプターズはオールスターのパスカル・シアカム、カイル・ラウリーに加えてフレッド・ヴァンブリート、OG・アヌノビー、ノーマン・パウエルらを擁し、昨季の最優秀コーチ賞に輝いたニック・ナース・ヘッドコーチ(HC)が指揮する強豪チームだ。

 しかし今季は3日終了時点で1勝4敗(勝率20.0%)でイースタン・カンファレンス14位に低迷。4敗のうち3敗はいずれも7点差以内ではあるものの、平均得点(104.4)はリーグ27位でフィールドゴール41.4%はリーグワースト。オフェンシブ・レーティングでもリーグ最下位の101.5と苦しんでいる。

 31日にニューヨーク・ニックスを100−83で下した試合で、渡邊は今季初出場を果たし9分27秒コートに立ち、4リバウンド、1アシスト、1スティール、1ブロックという成績を残した。

 ニックス戦勝利後、ナースHCはチームのローテーションについて「多くの選手たちを入れようとしてきた。ユウタが入る可能性もある。彼は競い合ってきたからね」と話していたものの、2日のニューオリンズ・ペリカンズ戦でコートに立つことはなかった。

 そんな中で迎えた4日のボストン・セルティックス戦。渡邊は勝敗がほぼ決した第4クォーター残り4分16秒にコートイン。直後のポゼッションでディフェンシブ・リバウンドをもぎ取ると、スタンリー・ジョンソンのアシストで左45度から3ポイントを沈めた。

 ラプターズは19点差の場面で渡邊とジョンソンをコートへ送り出すと、渡邊の今季初得点となる3ポイント、テレンス・デイビスの3ポイントプレー、さらにはクリス・ブーシェの3ポイントも決まって残り2分36秒で10点差まで縮め、セルティックスが慌ててジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウン、グラント・ウィリアムズをコートへ戻すことに。

 その後は点差を縮められず、ラプターズは114−126で敗れたものの、渡邊は4分16秒の出場で3得点、1リバウンドを記録。出場時の得失点差(+7)はチームトップと、短時間でも実力をアピールできたと言っていいだろう。


 セルティックス戦終了時点での渡邊の今季成績は、2試合で平均1.5点、2.0リバウンドと際立った成績を残しているわけではない。それでも限られた出番のなかで26歳のフォワードは、自身の役割をきっちりとこなしていた。

 今季は新型コロナウイルスの影響で、2WAY契約選手のルールが変更。昨季までは最大45日間の帯同だったが、今季は50試合に出場することが可能になっている。

 本日の敗戦でラプターズは1勝5敗と2012−13シーズン以来のスロースタートとなった。チーム状況は決して良くなく、今後ナースHCがローテーションを見直すことも考えられるだけに、渡邊にさらに多くのチャンスが与えられることを期待したいところだ。