湘爆時代の織田裕二と江口洋介

 織田裕二(52)と江口洋介(52)、ファンならお分かりだろうか、年齢も一緒ならデビューもほぼ同じ。なのに、現在の立ち位置はかなり違う。テレビも映画も主役しかやらない織田と、脇役でも味を出すようになった江口の差はどこから来たのだろうか。

 10月まで織田は「SUIT/スーツ2」(フジテレビ)に主演し、辣腕弁護士を演じていた。シリーズ第2弾だったが、コロナによる中断という不運もあってか、平均視聴率は8・5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)と振るわなかった。

 一方、江口は現在「七人の秘書」(テレビ朝日)に出演中である。主演は木村文乃(33)で、江口の役はラーメン屋だ。もちろん、影の秘書軍団の元締めという裏の顔がある重要な役どころだが、今のところラーメンを振る舞うシーンばかり……。芸能記者は言う。

「相変わらず主演ばかりの織田に比べて、最近の江口は脇役、悪役も演じるようになってきた。しかも今回は、ラーメン屋のオヤジです。正直、よく受けたなあと思いました」

「湘南爆走族」
 なぜ、この2人を比べるかと言えば、出自が一緒だからだ。

 織田と江口の共演と言えば、91年の月9ドラマ「東京ラブストーリー」(フジテレビ)を真っ先に思い浮かべる人が少なくないだろう。

 トレンディドラマの先駆けで、平均視聴率は22・9%で、最終回には32・3%を記録した。リカ役の鈴木保奈美(54)と優柔不断なカンチ役の織田のW主演で、2人の関係を中心に物語は進んだ。江口が演じたのはカンチの幼なじみで、いまで言う“チャラ男”だった。

 この作品で織田と江口は多くの女性ファンを獲得した。だが、それ以前にも共演作はある。

 2人が最初に共演したのは、1987年の映画「湘南爆走族」(山田大樹監督)である。少年キングに連載された吉田聡の同名暴走族マンガが原作だ。

転機はあった
 江口は、これ以前にも何作か出演作があるが、インタビュー記事のプロフィールには“「湘南爆走族」でデビュー”と紹介されることが多かった。本人もこれが実質的なデビュー作という意識が強いのだろう。

 一騎当千、少数精鋭の走り屋“湘爆”のリーダーを務めるのが、紫のリーゼントがトレードマークの江口洋助。配役が発表された当時、偶然とはいえ役名と役者名の読みが同じことも話題となった。

 織田はといえば、この作品まで役者の経験はなかった。“湘爆”のNo.2で、血の気の多い親衛隊長・石川晃をオーディションで勝ち取った。映画関係者は言う。

「この時の主役は江口で、織田は準主役でした。ただ見た目は、織田のほうが原作に似ているという声が多かったですね。もっとも、一番似ていたのは“湘爆”のライバルチーム“地獄の軍団”リーダーを演じた横浜銀蠅の翔(62)でしたけど」

 当時、“ツッパリ三連打”と銘打たれ、ひと月毎に、「スケバン刑事」(田中秀夫監督、主演/南野陽子[53])、「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎行進曲」(那須博之監督、主演/仲村トオル[55]、清水宏次朗[55])が公開されたが、トリの「湘爆」だけが不入りのために打ち切られた。

 それでも2人はその後、着々と芸能界での地位を高めていった。

 江口は翌88年、「翼をください」(NHK)でドラマ初主演し、織田は89年の映画「彼女が水着にきがえたら」(馬場康夫監督)で主演の原田知世(52)の相手役を務め、知名度を上げた。

 そして再び、前述の「東京ラブストーリー」で顔を合わせる。前出の芸能記者が語る。

「主演した織田は一気にブレイクし、この辺りから主演作ばかりを演じるようになりました。一方、江口は長髪をトレードマークに『101回目のプロポーズ』(91年/フジ)や『愛という名のもとに』(92年/フジ)などトレンディドラマの常連となり、93年の『ひとつ屋根の下』(フジ)に主演して大ヒット。江口も主演俳優として歩み始めました。ブレイクの時期が多少違うとはいえ、経歴もよく似ています」

11/19(木) 11:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/31992125a87ceb48884dad965508726daafa1dbb
https://i.imgur.com/BHAJvWk.jpg