筒香嘉智外野手(28)が所属するレイズが、データを駆使した戦略でワールドシリーズ進出を決めた。しかし筒香の出場は限られ、先発起用されたのは1試合のみ。その原因として、新鋭アロザレーナ左翼手の台頭、対左腕対策、そして速球に苦労していることが挙げられる。唯一スタメンだった地区シリーズ第4戦の相手先発は、平均球速143キロのグリンキーだった。

 以前のコラムでも指摘したように、筒香の課題は内角の速球への対応にあった。私見ではあるが、メジャーでは平均97マイル、155キロを投げられる投手が速球派とみなされる。シーズン中の筒香は9月になると速球派への起用が激減。8本塁打を含む31安打の中で、97マイル以上の速球は1本も安打にできなかった。救われたのは、相手の無難な外角を軸とした配球。内角を有効に攻められていたら、もっと苦しんでいたはずである。

 秋山翔吾外野手(32)の課題は球質の重い、また沈む動く球への対応だった。7、8月はこれらの球種を強くはじき返せず、打率は1割9分6厘。それが9月には中堅から逆方向の左翼への打撃に徹していた。

 9月8日の試合後、レッズの元同僚2人に、秋山はアプローチの仕方が変わり、これからは安打を重ねるだろう、とのメールを送った。以降は18安打のうち右翼方向への安打は1本のみ。9月の打率は3割1分3厘、出塁率4割5分6厘で1番打者として機能し、レッズの7年ぶりプレーオフ進出に貢献した。

 ただ相手からすれば、それほどの怖さがなく、研究されて左寄りのシフトを敷かれると安打数も減るだろう。来季は、本塁打とは言わないが、外野手の間を抜くような長打力も披露してもらいたい。

 大谷翔平選手(26)は終始、タイミングの取り方で悩みがあったように見受けられた。また過去2年間のデータから、内角の弱点をうまく突かれ、腰が引けるような打撃が多々見受けられた。

 筒香、秋山ついては、来季はオープン戦から生き残りを懸けた戦いになる。かつて松井秀喜さんも1年目は苦労したが、2年目には課題を克服し、飛躍を遂げた。来春まで課題を克服できるか。命運がかかる。

 ▼大慈彌功(おおじみ・いさお) 元太平洋クラブ(現西武)捕手。ロッテでバレンタイン監督の通訳を務め、1997年からは同監督が指揮を執ったニューヨーク・メッツで日本駐在スカウトに転身。ドジャース、アストロズと渡り歩き、昨年までフィリーズの環太平洋担当部長を務めた。

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10/20(火) 6:05配信