学内クラスターが多発している。日大水泳部で12人、天理大ラグビー部で53人と、いわゆる“体育会系”を中心としたコロナ集団感染が目立つ。寮生活の運動部は仕方ないと考えがちだが、簡単にはうなずけない。スポーツ強豪校としての名誉を守りたい大学側が招いた失態とも受け取れる現状があるからだ。

 日大も天理大も、原則オンライン授業を実施していた。入構制限をかけ、サークルやイベントは禁止。それでも授業料が免除されることはなく、学生は粛々と家で勉強する毎日だ。

 ところが、運動部は違った。天理大では一定の制限はあるものの、部員全員での練習が可能だ。日大は競技スポーツ部のみ活動は自由。サークルと違って制限はない。

 なぜ、勉学やサークル活動には厳しい制限があり、部活は緩いのか? 天理大は「授業も一部は対面なので、部活も条件付きで許可している」(広報部)と回答。日大にもメールで尋ねたが、広報課から明確な回答は得られなかった。どちらもスポーツの強豪チームがそろう大学。コロナ禍といえど、運動部の活動を制限したくない姿勢が見て取れる。

強豪チームを多く抱える関西の私立大に通う男子学生はこう語る。

「おとなしくオンライン授業しているのがバカらしい。学費は高いのに、図書館も使えない。学内でクラスターが発生すればオンライン授業は長引くのに、強い運動部だけ特別扱い。結局、大学の名誉や宣伝のためだと感じる」

 勉学に励みたい学生の気持ちを無視したルールは即刻取りやめるべきだ。

(ライター・中川七海)

日刊ゲンダイ
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