今春の第92回選抜高校野球大会に21世紀枠で46年ぶりに出場予定だった磐城高(福島)も歓喜に包まれた。
71年夏の準優勝時に「コバルトブルー旋風」を巻き起こした同校。ナインは必勝を違うと同時に、4月に就任した
渡辺純監督(38)は、1試合限りの甲子園交流戦で木村保前監督(49)=現福島商高=に“監督代行”を
要請したい意向を示した。

約5カ月遅れで真夏に訪れる春。午後5時半。全体ミーティングで朗報を伝えられた磐城ナインは目を潤ませ、
そしてすぐに満面の笑みが広がった。

岩間涼星主将は「手をつないでみんなでゴールするような思い出作りは嫌。楽しむのではなく、やるからには
全力プレーで勝ちにこだわりたい」と力を込めた。

新型コロナウイルスの感染拡大で春に続いて、夏の甲子園も開催中止。偏差値68を誇る県内屈指の
進学校だけに、12人の3年生の中には、退部して学業に専念したいとする部員もいた。その中で
岩間主将が一人一人に電話をして説得。全員そろって、今月8日の練習再開を迎えていた。

そして、渡辺監督も心の中に“ある秘めた思い”を抱いていた。4月1日付の人事異動で木村保前監督が
福島商高にある県高野連事務局で局員として業務を担当することになり、前いわき光洋監督で同校OBの
渡辺監督が新監督に就任。「木村監督を夏の甲子園に連れていこう」を合言葉に、再スタートを切った
ナインを見てきた。それだけに、「ルール的にどうなのかというのはあるが、自分の中ではかなうものであれば、
交流戦では木村先輩に監督をお譲りしたい。木村先輩と現2、3年生でつかんだ春の切符。僕は引率だけでいい」。
甲子園の交流戦で、特別に木村前監督に“代行監督”を要請したい意向を明かした。

最後に、岩間主将は言った。「春から本当に悔しい思い、悲しい思いをいっぱいしたけど、これで甲子園で
高校野球生活を終えることができます」。球児にはやはり夏が似合う。

https://news.yahoo.co.jp/articles/16f4cff15e628e9a65a038cc2f13803fb0423904