国際連盟(FIFA)が2022年にカタールで開催予定のW杯について、新型コロナウイルス感染拡大により延期も視野に入れて検討し始めていることが5日、関係者への取材で分かった。感染は収束しておらず、開催国カタールでも感染者が増加。1年延期された東京五輪と同様に、2年後のサッカーW杯にまでコロナ禍の影響が及ぶ恐れも出てきた。

22年11月21日〜12月18日に予定されているW杯カタール大会にまで、新型コロナの影が忍び寄ってきた。第二次世界大戦のため1942年大会(ドイツ)と46年大会が中止となった例はあるが、疾病による延期の前例はない。

FIFA関係者によると、インファンティノ会長はW杯の延期に慎重な姿勢をみせている。しかし、上層部の中には「可能ならもちろんやる。だが、世界の(新型コロナの)現状を看過できない。時期尚早かもしれないが(延期も)考えないといけない。本大会を無観客でやることは絶対にあり得ない」と話す人も出てきているという。

欧州では無観客でドイツ1部が5月16日に主要リーグ初となる再開を果たし、スペイン1部なども順次再開予定。しかし南米では同31日、ブラジル1部バスコ・ダ・ガマ所属選手16人から陽性反応が出るなど感染が拡大。代表の活動では国家間をまたいでの“大移動”となり、感染リスクは高まる。

各地域の予選は、日本も出場しているアジア2次予選が延期。南米予選も3月の開幕を延期した。欧州や北中米カリブ海などはまだ予選の日程が決まっていない。「予選の目途が立たないところもある。収束しなければ無観客やセントラル方式(1カ所で集中開催)なども模索しなければならない。本大会延期も念頭に置く必要がある」と、FIFA関係者も頭を悩ませているという。

開催国カタールの問題もある。本番に向けてインフラ整備が進められてきたが、4月15日にスタジアム建設現場の作業員5人がPCR検査で陽性反応を示すなど感染は日増しに拡大。4日時点で累計感染者は6万3741人。死者は45人と少ないが、人口100万人あたりの感染者は約2万1600人となり、世界でも突出して多い。

同国政府は3月、公共・民間の労働者数を20%に削減すると発表しており、W杯関連施設建設への影響は不可避。有効なワクチンも未開発で、FIFAも難しい判断を迫られそうだ。

サンスポ 2020.6.6
https://www.sanspo.com/soccer/news/20200606/wor20060605030001-n1.html