アメリカンフットボールチームとして宇都宮市内で唯一、活動を続けてきた関東学生リーグ3部の宇大アメフト部が、昨年末で廃部となっていたことが19日までに分かった。「危険タックル問題」のあおりも受けて近年は部員不足が続き、昨秋からは公式戦を棄権していた。OBなど関係者たちは「自分たちを育ててくれたチームがなくなる。本当に残念」との声が漏れた。
同部は1974年創部。過去にはリーグ2部で強豪私立大と戦った時期もあり、名実ともに「北関東の雄」として歴史を刻んできた。宇大の合格発表では例年、合格者を胴上げで祝ってきた。

アメフトは攻守でそれぞれ11のポジションがある。選手は攻守兼任でプレーはできるが、最低でも30人の部員確保が望まれるスポーツ。しかし2〜4年生11人で迎えた昨春、チームに新入生の加入はなかった。

夏には現役選手が1人退部し10人に。残された部員が勧誘に奔走したが新戦力は見つからず、秋のリーグ戦は全試合棄権。年末に現役選手とOBらが話し合いを重ねて廃部を決めた。今春は新メンバー募集をせず、例年、大型連休中に開いていたOB戦も中止とした。

昨年、主将を務めた柿崎泰広(かきざきやすひろ)さん(23)=同大大学院1年=は「最後の学年になってしまい申し訳ない。自分自身も4年間、最後までプレーしたかった」と悔やむ。遠征のバスを小型にして経費を節約し、練習日数を削って選手が部費捻出のアルバイトに充てる時間も確保。「改革」に取り組んだが努力は報われなかった。

リーグ戦の棄権や部の存続も選手全員で話し合ったが、明るい展望は開けなかった。元主将の黒坂明善(くろさかあきよし)さん(23)=同大大学院2年=は「最後は選手たちの判断を優先した。学生数も多い大学ではないし、2年前の危険タックル問題でイメージが下がったのも痛かった」と振り返った。

宇大の廃部で県内のアメフトチーム数はピーク時から半減した。OB会長として選手たちの相談役になった東京都江東区有明1丁目、長澤健太郎(ながさわけんたろう)さん(46)は「今、こうやって社会人ができているのも、アメフトを通して人間関係を学んだから。学生がスポーツを通じコミュニケーションを学ぶ場が減ることは、ただただ残念」と肩を落とした。

下野新聞 2020.5.20