将棋の第47期岡田美術館杯女流名人リーグ(主催・報知新聞社、日本将棋連盟)が9日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた渡部愛女流三段(26)対加藤圭女流初段(28)戦で開幕した。

 里見香奈女流名人(28)=清麗、女流王位、倉敷藤花=への挑戦権を目指し、トップ女流棋士10人が総当たり戦を行う女流名人リーグ。開幕局は里見からタイトルを奪取した経験を持つ渡部、初のリーグ入りとなった加藤の顔合わせとなった。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、公式戦対局では棋士の検温やマスク着用の義務化など予防措置が取られている。開幕局の舞台となった「香雲の間」では換気のため、入口の襖(ふすま)と窓を開け放ったまま対局を行った。

 ウイルスの脅威が拡大する中、将棋連盟は3日に予定していた女流王位戦第1局、8日開幕予定だった名人戦7番勝負第1〜3局を延期したが、タイトル戦ではない将棋会館での通常の公式戦対局は継続実施している。

 将棋連盟は8日に佐藤康光会長名義で新型コロナウイルスへの対応についての文書を公表した。11日から5月6日までの長距離移動を含む対局の延期、棋士養成機関「奨励会」対局日の一部延期などを発表。さらに棋士や女流棋士、連盟職員などから感染者が出た場合は将棋会館を一時閉鎖するとした。

 政府による緊急事態宣言が7日に発令され、囲碁の日本棋院は8日以降の対局を当面禁止した。スポーツ界でもスケジュールの延期・中止が相次いでいる中、対局を継続することに対しては、ファンのみならず一部棋士からも疑問の声も挙がっている。文書では、対局を続けることについて「将棋愛好家の皆様にご心配をお掛けしておりますが、日本文化の担い手として将棋という日本の伝統文化の灯を絶やさぬよう、対局の当事者及び関係者への安全の最大限に配慮しつつ公式戦の対局を継続することを決断致しました。対局を通じて皆様の活力となりましたら幸いです」としている。

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